イナズマ裏夢
□これもお酒の影響ですか
1ページ/3ページ
※いつにも増して意味不
「あーつーしーくーん」
普段よりも格段に低い彼女の声。
物凄く怒ってるみたいだが、頭がぼうっとして、恐怖だとかそういった類いの感情は沸いてこない。
「お酒は二十歳になってからーって、教わらなかったかなー?」
「…っん、あんなところにお酒なんて置く由岐さんが悪いんですよ…っ」
「責任転嫁すんな。あそこに置いたのは私じゃなくて私の友人だよ」
熱い。
頭の中も、身体の内側も、沸騰したみたいに熱い。
興味があった、って理由で口をつけた酒だったけど、まさか自分がこんなにも酔いやすい体質だなんて知る由もないわけで。
「んぅ…熱い……脱がせて、由岐さん……」
「ちょっ……もう」
文句言いながらも俺の服のボタンを外してくれる由岐さん。さすがに慣れてる。
けど、熱いのは、上半身だけじゃない。
「した、も……」
「あのねえ…熱いのは服着てるからとかじゃなくて…っておい脱ぐな」
「だっ…て、熱い……」
ベルトを外し始めると、さすがにストップがかかる。
というかどうしてその言い分を、上の服を脱がせるときにしなかったのか。
ああひとつ言っておくが俺の意識は今も曖昧だ。実質こんなに冷静に話せたものでもない。
「汗で、変な…感じ…っ」
「ああもう…濡れたタオル持ってくるから」
そう言って風呂場へ向かう由岐さんを見届け、ベルトを外してズボンを脱ぐ。
彼女が帰ってきたら怒られるかもしれないが、今はもうとにかく熱い。服の中にも熱が籠ってる感じがする。
「…おまたせ」
虚ろになりながらもベッドに寝転がったまま彼女を見上げると、僅かに見える呆れの表情。
だが俺は怒られなくて済みそうだという事実に安堵した。
「身体拭くよ。ほら、仰向けになって」
「あう……」
ひんやりとした感覚が気持ちいい。
少しずつではあるが、汗がひいてくる。
と、彼女の動かすタオルが胸の中心の突起物に触れた。
「んあっ、そこ、もっと……」
「…淫乱は健在、ね」
「ひゃっ…あ、きもちいい……」
タオルで強めに擦られて、思わず変な声が出る。
また、身体が熱くなってきた。
「んーっ……」
「…足、拭くよ」
せっかく気持ちよかったのに、由岐さんは刺激を止めて太股を拭き始める。
左足、右足…と順番に汗を吸いとっていき、今度は足の付け根へ。
「あんっ…!も、もっと左……っ」
「…えっちしてるわけじゃないんだよ?」
「こ、コスッて、そこ…っ」
「…まったく……」
理性のない俺は、ただ気持ちよくなりたくて、そう懇願する。
彼女は渋りながらも、俺の欲しかった刺激をくれた。
「んっ…あ、はぁっ……!ん、あうっ…もっと、ちゃんと…っ!」
「…ちゃんと触ってるけど?」
「ちがぁっ…え、えっちぃさわりかた、して…っ!」
「……後で恥ずかしくなるくせに……」
ただでさえタオル越しでもどかしいのに、緩く緩く扱くもんだから、我慢できなくなってそう告げる。
理性が戻ったときの後悔なんて、とてもじゃないが今は考えられなかった。
「あっ、んっ!あ、由岐さぁ……っ!せっくす、したいっ…!」
「……私が一方的に攻めるのもSEXっていうのかな」
なにやらぶつぶつと呟きながら、彼女はタオルを取り払う。
けれど、してくれる、なんて期待をした俺が馬鹿だった。
「やぁっ、触っ、て……っ」
「嫌だよ。まあでも篤志くんがもうお酒なんて呑まないって言うなら、」
「のまないっ、やくそく、するからぁっ…!」
「早い!せめて最後まで言わせてよ!」
…怒ってるわけではなかったみたいだ。
さすが変態、と言うべきなのだろうか。
怒りよりも性欲が勝るらしい。
「んぅ…由岐さん……」
「…いいよ、ただし…お仕置きも兼ねて、ね?」
脱力していた彼女の表情は一変し、いつもの意地悪な顔に。
鋭い目付きに射抜かれる。
嫌な予感なんて感じ取れるほどの余裕は、俺にはなかった。