イナズマ裏夢

□sex education ver狩屋
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コンコンコン。この淑やかを気取るノック音はおそらくあの人だ。「はーい」読んでいた雑誌を閉じて扉を開ける。廊下に見えるのは思った通り俺を見下げてくる由岐さんで、やあ、と態とらしく右手を掲げる。それチョップの体勢ですよっていつも言ってるのに。「何の用っすか」ちゃんと宿題終わってますよ。

「うーん、ちょっとね」珍しく言葉を濁す彼女を見上げるついでに首を傾げる。ちょっと入れて、と言うのでたいして片付いてない部屋に招き入れた。これがヒロトさんとかなら片付けなさいと口煩く言われるものだが、由岐さんは自身が大雑把でズボラな性格をしていることを自覚しているのか俺にそれを強いてくることはない。しかしたまに漫画を積み上げたりしていると、つん、とその山をつついて雪崩を起こしてくる。ある意味ヒロトさんよりタチが悪い。今日はそんなこと、ないはずだけど。…ないよな。部屋を見回すがそれらしき山はなかった。よし。

「うーん」
「なんなんすか、人の部屋じろじろと」
「いやね」
「はあ」
「うーん」
「なんなんすか!」
「ううん、最近教育にあまりよろしくない漫画が子供たちの間で回ってるって言われたもんだから」
「………はい?」
「その教育のよろしくなさ加減を調べに来た」

教育にあまりよろしくない漫画?ふと、頭に浮かんだそれに、腹の奥に冷たい空気が這う。ううんううんと家捜しをする由岐さんに気付かれないように、こっそり勉強机に向かう。「ねえマサキくん、心当たり」「ハイッ!!?」変な声出た。く、くそっ、ぜ、絶対気付かれた!

「どこにあるの」こうなったら知らないふりを突き通そう。見つかったら借りてそのまま忘れてたって言い張ろう。「ふうん、そんなに『まずい』漫画なんだ」し、しまった!なんなんだこの人ほんと無駄に頭が回る!これでどっちの言い訳も通用しなくなった。どうする俺、どうすればこの人は諦める。「べっ……別に普通の少年漫画っすよ!ま、漫画なんてなんだって多少なりとも教育に相応しくないシーンなんかはあるんじゃないっすか!?」由岐さんは白けた視線を送ってくる。くっ、言い訳すればするほど墓穴を掘るような気がする。

ベッドの下を覗いていた彼女は立ち上がり俺に向かってくる。途中で、勉強机に向かって方向転換。なんだよ気付いてたんじゃねえか!!最初から言えよ!!「これか。5巻…去年の3月発売…まだ続きあるんだね」抜かりなさすぎかよ。あんた漫画なんか殆ど読まねえだろ。

「ふうん」
「……な、なんすか」
「これどこから回ってくるの?」
「え?誰だっけ…知らないっす」
「そう…どこまで回ってるかは?」
「さあ…まあ流石に低学年には回ってないんじゃないっすか?」
「ふうん。一応『そういう認識の漫画』なんだね」
「ぐっ…」
「…うーん。マサキくん、こっち来てどこが『まずい』のか教えてくれる?」
「はあ!?」

嫌だろそんなの!!それはあれだろ、お、俺が、どのシーンを見てどういう気分になってるのかって話すようなもので、「『全部』って言うならもうそのまま没収するけど」くそっなんでこんな役目が俺に回ってくるんだ。俺が回し始めたわけでもないのに。他の巻持ってるやつのとこ行ってくれよ。

渋々彼女の手から漫画をひったくる。もう何を言ったってどうせこの人に嘘は通じない。ああ調査ならせめて理解のありそうな男を寄越せよ、なんで男が『そういう』気分で読む漫画を女の彼女に紹介してるんだ俺は。「……こことか」パラパラとページをめくり始めて早々に出てきた危なげなシーンをそっと差し出す。由岐さんは眉をひそめた。それがどういう反応なのか、俺には判別がつかない。「他には?」もう自分で見て確認してくれよ。座り込んだ俺の肩に顎を乗せて、横からそれを覗き込んでくる由岐さんにため息が漏れる。ああくそ、いい匂い。

「あ、ストップ」ぱらぱらとページをめくり続けているとふいに左側からストップがかかる。もう自分で見てくれよ。「うーん…やっぱりちょっとまずいかなあ」え?ここ?まあ確かに普通とは言い難いけどそこまで『まずい』シーンじゃなくないか。俺との意見の相違があることに気が付いたのか、由岐さんはあれ、と呟いた。

「さっきのより、こっちの方が危ないかなって思うんだけど」
「そうっすか?直接見えてないしセーフじゃ」
「そういうもの…?でもううん、この体勢は」
「体勢?まずいっすか?」
「…うーん?わたしの感性がおかしいわけじゃない、と思うんだけど、ってなると」
「え」
「…これの意味が分からない子供にはやっぱりまだ早い漫画だね」
「ちょっ!?」

意味も分からないまま漫画を取り上げられる。「他の巻を探してくるね」まずい、何がまずいって漫画を没収されることじゃなく俺らの読んでる漫画が『まずい』って思われることがまずい。「ちょっ待っ由岐さんっ!!」立ち上がった彼女のスカートの裾を引く、と、「えっ」と小さく漏らした由岐さんが後ろ向きに倒れてくる。えっ。

「うぎゃ、」すげえ色気のねえ悲鳴でたな。「うげっ」と思うと同時に彼女の身体が俺にのしかかってきた。2人して床に雪崩れ込む。うえ、背中打った。「ご、ごめん、大丈夫?マサキくん」いやまあ、元はと言えば俺が裾引っ張ったのが悪いわけだし自業自得だ。大丈夫です、と上半身を起こすが下半身には彼女の重みと体温と柔らかさと、「……ーーッ」これさっき漫画で見た『まずい』シーンそのままじゃないか?由岐さんのロングスカートが俺の足を埋めてその中身が見えない状態、で、でもスカートの中身が俺に密着してるってことはその、この中には『まずい』光景が、「………マサキくん」「ひえっ!!?」ちちち違う違う違う!!おっおおおお俺は断じていま由岐さんで変な妄想なんかしてないしましてちょっと『そういう』気分になんてなったり、「ちょっと勃起してない?」……し、仕方ねえだろこんなの不可抗力だ。

ああ彼女の言っていた意味が今更分かる。確かにまずい。あったかいし密着してるし触れ合ってるし股間の変化なんかすぐに知られるし開き直って勃起しやがったそこは彼女のや、柔らかいところを押し上げて、肉感が、き、気持ちいい。「…まーさーきーくん」ゆらゆらと腰が上下する。い、いや、と、止まんねえってこれ、まじで。もうバレてしまったものはどうしようもないしそもそも止まんないし由岐さんの足を固定して更に強く腰を押し付ける。パンツの中もうぬるぬるしてるしズボン越しじゃ押し付けるったって限界があるしああもう全部脱いで由岐さんのあったかいとこに直接勃起ちんこ擦り付けたい。

「ほら擬似セックスしてないで離して」ぎじせっくすっていうのかこれ、やばいやばいまじで気持ちいい。腰を浮かせて左右に振る。「ま、さ、き、くん」「ひっ」ぎゅうっと足を閉じられた。合わせて密着したそこが搾るように引っ張られる。は、離させたいならそんな、いやらしい刺激すんなよ。

股間の奥の芯がじわりと熱くなって、ひくひくと痺れにも似た痙攣が下腹部に続く。これ足伸ばしたら気持ちいいやつだ、ともう無意識にも快感を得る術を知っている身体が足先に力を込める。丸く、円をかくように尻を動かして、もう少し、もう少しと、一心不乱に腰を押し付ける。「…洗濯してあげないから、ねっ」ぐぐっ、と、由岐さんの体重が俺の腰にかかる。「ひぃっ、あッ」そのまま前後に身体を揺らしてくる由岐さんに、さっきまで押し付けていた腰を咄嗟に引く。それでも由岐さんは俺のちんこをあったかい肉でしごいてきて、だんだんと腰がまた持ち上がる。「い…イく、出るっ出るっ、んあぁああイッ、く、」太ももからつま先までがぴんと張る。尻に入った力がぷつぷつと細い尿道の壁を広げながら精液を押し上げていく。久しぶりにデカい興奮だったからか数秒続く射精が下着どころかズボンに滲み出ているらしくて、絶頂の余韻に浸る俺を尻目に由岐さんがはあ、と深いため息をついていた。

「漫画没収だね」
「…由岐さんの存在の方がよっぽど教育に悪いっすよ…」


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