イナズマ裏夢

□にがいおとなのあまいおくすり
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好きに使ってねと、わたしの使う隣の部屋の鍵を剣城くんに預けたのは、豪炎寺くん、もといイシドシュウジさんから、監視という名の『味方係』を任された次の日のことだった。「ご飯は言ってくれればどこにでも連れて行くからね」おそらく使われることはないだろうけれど、わたしの名刺とともに電話番号を伝えたのも同日。そうして案の定、その日から今日まで、彼の番号を知ることはなかったのだ。「もしもし」通話口の向こうで、あの部屋にいるから薬持って来い、と剣城くんらしき声で命を賜る、今このときまでは。

薬って何かと思えば風邪薬をご所望らしい。びっくりした。とりあえず薬の入った救急箱と常温の水を持って部屋を出て、隣の部屋の鍵を開ける。「こんばんは、剣城くん」返事はない。その姿も、玄関からは見えなかった。上がり込んで、内側から鍵を閉めておく。明かりのついているリビングの扉を引くと、とてつもなく冷たい空気が肌を刺してきた。れ、冷房効かせすぎじゃないのかな。暑かったのだろうか。でも、風邪なら悪化するよ。

「剣城くん」ぐるりと一周、リビングを見渡しながら呼びかけてみるが返事がない。この部屋じゃないかと机の上にあったリモコンで冷房を消して、次の部屋へ向かう。洋室の扉をノックするが、やっぱり返事はなかった。「剣城くん、入るね」聞こえているかは分からないけれど、返事がないからにはどうしようもないので扉を押す。ここでもやっぱり冷房が効いているらしく、冷気が身体に纏わりついた。暗い部屋の中、構造は同じだろうと手探りで電球のスイッチを探す。ぱっと、明かりがついたその中には、床に座り込みベッドに突っ伏す、青い髪。「剣城くん?大丈夫?薬持ってきたよ」ベッドに上がればよかったのに。暑いのかな。

「剣城くん」
「…っ、薬」
「うん、症状教えて。喉の痛み、鼻詰まりは?」
「…ない」
「頭痛、吐き気」
「…ない」
「熱は?」
「……あつい」
「分かった。これにしようか。13歳以下だよね、2錠…………ん、え?なにこれ」
「おい…はやく」
「え?う、うん、ま、待って。えっ?これ…なんで、つ、剣城くん?」
「なんだ…!」
「こ…これ飲んだ?」
「はあ…?」

剣城くんの足元に転がっている瓶を拾い上げ、頬が引きつる。冷蔵庫の一番上の奥に隠しておいたはずだ。他にも飲み物は山ほどあったはずだ。それなのに、パッケージを見せると、剣城くんはこくんと、頷いた。血の気が引く。確かに、外側にはエナジードリンクと記載がある。しかしこれは、エナジードリンクと言う名の、精力剤だ。「…………ごめん、あのね剣城くん、落ち着いて聞いてね」豪炎寺くん、じゃないイシドくんに怒られる。最悪逮捕かもしれない。いやいやでも、今はとにかく、この処理が先決だ。

「これ、あの…なんて言うのかな、身体が熱くなる飲み物でね。端的に言うと精力剤なんだけど」剣城くんは疑問符を浮かべている。そうだね。まだ中学1年生だもんね。「あの…なに?あれ…か、身体が、性的に興奮する、飲み物?」それでも微妙に首を傾げていた剣城くんが、暫くしてその意味を飲み込んだのか、ふざけるなとわたしに絡んでくる。ひゃー、ご、ごめんって。殴られるかなと目を瞑るが一向に痛みは飛んでこない。おそるおそる彼を確認すると、わたしの目の前でへにゃりと床に手をついていた。

え、ええと、どうすればいいかな。もちろんわたしの責任ではあるわけだけれど、これ以上はむしろ罪を重ねることになるかもしれない。「…薬、は」う、ううん。ないんだ、ごめんね。「……どうすれば、いい」わ、わたしも聞きたい。この様子じゃ、1人でしたこともないのかもしれない。教える、と言っても、今の彼に手を出したら、後からデスソードを顔面にくらうことが目に見えている。「そう、だね。勃起、は、してるから、おちんちん、触ってたら多分、射精できる…かな」剣城くんは咄嗟に股間に腕を挟み、その異常を隠す。別に辱めようと思ったわけではなかったのだけれど、おもいっきり睨まれた。「じゃあ、隣の部屋にいるから…何か困ったら、壁叩いてね」そのときは、今度こそデスソードを覚悟できみに手を出すことになるだろうけれど。

とりあえず冷房を消しておいて、隣の洋室に移る。扉を閉めて一息ついた瞬間、あっ、と、剣城くんの甲高い矯声が遠くに聞こえる。おあ、こ、この部屋もだめだな。こんな風に強制的に性の目覚めを迎えさせてしまって本当に申し訳ない。終わったら冷蔵庫をちゃんと確認しておこう。

そのとき、ドン、ドン、と力なく壁を叩く音。えっ、い、いまの呼ばれたのかな。とりあえず隣の部屋の前、ドアを3回ノックする。「剣城くん?呼んだ?入っていい?」返事がない。肯定だと思う。多分。「入るね」扉を開けた先には、スボンにぐちゃぐちゃに皺を寄せて縮こまる剣城くんが、やっぱり床に座り込んでいた。べ、ベッド使いなよ。

「大丈夫?苦しい?」
「……い」
「えっ?」
「っ、こんなこと、できるか…!」
「そ、そっか、はじめて、なんだよね。ごめんね、ちゃんと教えるべきだったね」
「……っ」
「……剣城くん、相談なんだけど」
「……なんだ」
「…わたしが、触ってもいい?」

剣城くんはぎゅっと、シャツを握り込んで皺を作る。この反応、切羽詰まったこの状況下じゃあそれしかないって薄々分かってはいたのだろうけど。「……触るね。脱いで」びくりと跳ねた剣城くんの長い足が伸びてきてわたしを拒否した。え、ええ。さっきはどうしようもないって思ってたんじゃ。「み…見るな」む、無理だよ。ああ、でも、なるべく、程度なら。「じゃあ、後ろからするね。ベッド上がって、スボン、ちょっと下ろして」理性まで飛んでいればよかったのだけれど、生憎と随分理性的だ。外されていたベルトが唯一の妥協だったのだろうと思う。

もぞもぞ、のそのそと小さく小さく動く剣城くんが可愛らしい。彼の後を追うようにわたしもベッドに上がり、背後からその小さくなった身体を抱きしめ下着に手を滑らせる、「っぁん!」わたしの腕の中、その身体がびくんと跳ね上がり可愛らしい悲鳴が聞こえた。咄嗟に動きを止めると剣城くんはぷるぷると震え出してさらに小さく背を丸める。ま、待って待って。触れないよ。「や…やめろ、触る、な」う、ううん。はじめてのことで怖くて混乱しているのは分かる。でも一旦落ち着こう剣城くん、それじゃどうにもならないよ。

「剣城くん」
「ひっ…や、やめろ!」
「落ち着いて、ね」
「っ、こ、んな、こと」
「うん、ごめんね。わたしがちゃんと、飲んじゃだめって言うべきだったね。でも、もう熱くなっちゃってるから、ちょっとだけ、我慢してほしいな」
「……っ」
「ごめんね。大丈夫だよ、気持ちよくなるの、恥ずかしいことじゃないから。剣城くんの意思じゃないこと、ちゃんと分かってるよ」
「…………」
「電気消すね。早く終わらせようか。最初のちょっとだけ、手じゃ痛いかもしれないから、こっち向いて、下着も脱いでほしいんだけど、いいかな」

暗くなった部屋で、ゆっくり、がさごそとシーツが擦れる音がした。慣れなくてもいいのに目が慣れてくる。ごめんね。「ありがとう。ごめんね、気持ち悪いかもしれないけど、すぐ終わるから我慢してね」下手をすると今度こそデスソードだ。頼りない視界の中だけれど、剣城くんにこれ以上の譲歩は望めない。やっぱり剥けていなかったそれに手を添えて、ゆっくりと、口に含む。「っ、ひっ!?なっ…なに、をっ、あッ、待っ…ァ、んっ!」舌先でくるくると尿道を擽り、その輪を広げていく。唾液を落とし、おそらく一度も露出したことのないであろう敏感な恥部を、舌すら触れないよう慎重に、ゆっくりと解していく。皮の切れ目をなぞり、唾液で摩擦を減らしながら、根元へと引く。「んっ…ひ、あ、」皮を引ききって、最後にまた唾液を塗りたくるように落として口を離すと、そこはぷっくりと、その表面を真っ赤にした卑猥な膨らみが、剥き出しになっていた。

濡らしたとはいえさすがに手で撫でると痛いだろうと思い、また顔を寄せる。剣城くんはもう放心状態だ。ごめんね痛かったよね。我慢してくれてありがとう。ここからはちゃんと、気持ちよくなるように頑張るからね。「ひぃっ!?も、もう…やめろ、それ、だ、だめだっ、」先っぽはまだぴりぴりするよね、ごめんね。今しがた引き摺り下ろした皮を唇で挟み吸い付きながら、竿を2本の指で扱く。今更だけど、こんな直接的な刺激じゃなくて、例えば布団に擦り付けるとか、そういう自分の意思で快感を得られる方が良かったかもしれない。「つるぎく、」顔を上げて声をかけようとしたが、ぷつりと、その先が途切れてしまう。わたしの口が離れた瞬間、剣城くんが、物足りなさそうに腰を揺らめかせて、切なげに眉根を寄せるから。「…剣城くん、痛かったら、蹴り飛ばしてね」いやだやめろと口にするのは、理性を保つための無意識の抵抗かもしれない。多分まだ、摩擦を起こすような刺激は痛みを伴うだろう。それでも痛み以上に、性の快感を、手探りながらも見つけようとしてくれているなら。「気持ちいいこと、覚えちゃおうか」わたしもきみに、ちゃんとそれを教えてあげたい。

竿を扱きながら玉の皮を撫でたり肛門の辺りを擽ったり、せめて気持ちが性感に追いつけばと甘い刺激を与える。相変わらず剣城くんの口からは待てやめろもういい離せの繰り返しだけれど、根元からその肉棒に舌を這わせればぐっと腰が浮くところを見ると身体の方はもうそれほど抵抗感もないらしい。だいぶ昂ぶってきたところだけれど、そういえば剣城くんは精通してるのかな。つま先が張り出したタイミングで、赤い膨らみを口に含む。「あッ、や、やめ…〜〜ッん、…っぁ、ん!」口の中で裏筋をちろちろと擽っていると、剣城くんが一際大きく跳ねる。ぴんと張った足先でぐいぐいと腰を押し付けられてちょっと噎せそう。けど背中が反るほど大きな快感の波がいま彼を襲って、ん?あっ、い、イッてる?

「あっ…は、ぁっ、ふ…ぅ」
「ん…身体、ぎゅうってなった?」
「っん………」
「ふふ、よかった。…でもまだ硬いかな。もう1回、びくんってできそう?」
「……ん」
「ありがとう。じゃあ、これから自分でしたくなったときにできるようにしよっか」
「な…なるわけ、ない、だろ」
「そうかなあ」

わたしには分からないけれど、射精の快感は簡単には手放せないと思うなあ。剣城くんだっていま、絶頂の余韻が残って、もう1回気持ちよくなりたいって思っちゃったから、腰が揺れてるんだよね。少しの意地悪を込めてゆらゆら畝る腰を撫で付けると、かっと頬を染めた剣城くんに蹴られた。ご、ごめんごめん。「じゃあ、今度はちゃんと、えっちな気分で気持ちよくなってほしいな」もう1発蹴られた。ええ、もう気持ちいいこと、覚えちゃったくせに。
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