チビと俺
□第12話 家出少女第2号B
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「豊……」
「ん?」
「寒い」
俺がさっきまでさしていた傘を鈴美に渡した。
「そりゃそうだろうよ。家からここまでチャリで来たんだろ?」
確かに自転車で来れる距離だが、こんな重い荷物に、大雨の中で自転車をこげば体力なんてすぐになくなりそうだ。
「うん……。くしゅっ!」
くしゃみをしてから、ブルリと体を震わせた。
「……」
俺は自転車を止めて、上着を脱いだ。
「ちょっと濡れてるけど、ないよりかはいいだろ」
鈴美の肩にかけると、それを素直に着る鈴美。
(いつもは素直じゃないくせに……)
「ただいまー」
「おかえりーって、鈴美ちゃんじゃない! 久しぶりねー」
帰ってきた途端に母さんの声。
「母さん、ちょっと静かに」
「え?」