book

□結
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晴れて、秘密とは言え、恋人同士になった私と翔


でも相手は
"超多忙な国民的トップアイドル”


電話はおろか、メールすらする暇もなく


逢えるのは収録日だけ



逢えたところで2人きりにはなれるわけなくて…



分かっている。


分かっているのよ。





…分かってはいたけど、寂しさがもうMAXになってしまった


楽屋内ではこんなにそばにいるのに


あくまでも普通に接しなきゃいけないなんて…


切ない…







ある程度雑用も済んだので楽屋を後にした。



「…はぁ」



そりゃ”普通”の恋じゃないからさ、仕方ないけどさ。


翔もポーカーフェイスがうまいし…


「…はあぁーぁ」

大きなため息が思わずもれる

すると

「‼」



背後から気配を感じたと思ったら、あっという間に空き部屋に連れ込まれた













S「なーにでっかいため息ついてる?」



「翔っ」

満面の笑みの翔がそこにいた


S「やっと二人になれたな」


「うんっ」


S「そんなにうれしい?」


「…そりゃ…こんな感じになるかなって思ってはいたけど、やっぱりさびしいかも…」


S「そっか…だよな…ごめん…」


ふと寂しげな顔をして謝る翔に慌てて

「あああ!違うの違うっ翔は悪くないの!こうゆうふうになるってわかってたのっ全然大丈夫っだからごめんなさい謝らないで!!」
と早口で説明した


S「そっか…“分かっってた” か…」


そのあと数秒、翔は黙り込んでしまった
そして次はおもむろに・・・



S「おいで。」


「でも…ここ…」


S「大丈夫この部屋俺がちょっとニュースでまとめたいことあるから用意してもらったんだ。嘘だけど(笑)
だから大丈夫…おいで…」



改めて「おいで」言われると照れちゃうけど

両手を広げて待ち構える翔の腕の中におずおずと入った



ぎゅうっと優しく抱きしめられる
S「うーーーーん…久々…らんを抱っこ」




「へ…抱っこ…な、なんか恥ずかしい…」



S「だって実際心地いいんだもん」


「あー、最初の頃も言われたけどそんなにいいもの?」

S「んー…俺にはジャストサイズ」

「…」

S「静かになちゃった」






「…それって、何だろ、私のこと”愛玩動物”としての『好き』なんじゃないの?もしかして」



S「なに…俺の気持ち疑ってる?」


「そうじゃないけど…。でも実際、翔の周りに私みたいなのいないでしょ?物珍しさから興味持っただけなんじゃないかってじゃなかったらこんなチンチクリン相手になんか___」


S「らんっっ!!」


頭の上で翔の声が荒くなった
抱きしめる力も強くなる


S「こんな…って言うなって。言っただろ前。らんは可愛いよ。間違いなく。


…確かに、最初はちょこちょこ動く姿見て小動物的可愛さを覚えたよ。
でもどんな時も懸命に頑張る姿にかっこいいとも思ったし……
俺の事も”いくつもの顔がある”って言っただろ。あれには正直びっくりした。こんな素人に見抜かれてた…って、正直思った。
ひた隠しにしてきたつもりだったのに、バレてる…って。
実はらんの事怖くなったんだよ。」


「え…そうだったの」


S「…うん。事実俺は色んな”櫻井翔”を持ってる。まぁ、こんな世界だし色んな顔を持たなきゃ、なんだけど。アイドルにキャスターだろ?振り幅ハンパねーみたいな(笑)
でもそんな人生を選んだのは自分だし。進むしかないじゃない?…でもやっぱ時々疲れるっつか。そんな一瞬をらんは見抜いてたってわけだ。スゴイ洞察力だな。」

「そんなことは…」

S「まあ、そんなこんなでいつのまにからんから目が離せなくなった…って感じになって…今に至るんだな。」


「……そうだったの…なんかごめんなさい…」


S「いいよ。…それに好きじゃなかったら…

こんなことしたくならないでしょ?」








言った次の瞬間

おもむろに翔の手が私の胸へあてがわれる



「キャ!!!」


「これだけでここまで反応いいと困っちゃうな…」


「困っちゃう…?何で…」


S「これから先がさ…」

「先……‼」


服の上からなのにピンポイントで先端の敏感なところを刺激してきた


「…っ」



「俺…もう、さ…らんに…もっと一緒にいたい…もっと触れたい……抱きたいよ…

でも、ここぞって時に落ちちゃうから…」


唇をとがらせてすねる翔



「…な、慣れの問題じゃない…か…と」



S「感度良すぎるのも問題」



「相手が翔…って時点でムリ…かと」



S「俺のせいなの?」



「ずっと…好きだったんだもん…この付き合ってるって現状だけでも気絶モノだから…慣れるなんてあり得ない…かも」






S「ふぅーん…わかった」

そう言うと


翔は部屋を出て行った





怒らせた?


でも事実だもん




付き合うことになったんだから



キスの先を想像しないわけじゃない



そうなりたいって思う自分だっている



でも





いざ




と思うと




卒倒してしまうもの…











でも、どうしよう




嫌われちゃったかな……






これだから素人はって



思われちゃったかな…



これで




終わりかな……
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