図書館連載

□In the fight
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あっという間に残りの二人も取り押さえると、良化機関が撤収していった。


「有難うございます。怪我は大した事ないので大丈夫」

「…そうじゃないね。殴られたのは頭とお腹だけ?」


心なしかフラフラする体を叱咤して頷く。頭からは血が出ているのか、右目が開き辛い。
それよりも郁は、と尋ねると自動ドアにぶつかったみたいだよ、という思いもよらない返事に愕然とする。


「そうですか…」


良かった、と続ける前に僕の体は傾き、意識も途切れた。


****


…煩い。堂上二正の怒鳴り声が聞こえて目が覚めた。


「あ、前橋さん目覚めた?お医者さん呼んで来るね。」


重い瞼を開けると優しく笑う小牧二正が居た。どうやら貧血になった僕は今まで寝ていたらしい。


「さて、異常はないって事だけど…」


怖い。笑顔が怖いです小牧二正。笑ってるのに目が笑ってないです。


「なんで笠原さんと一緒に本を運ばなかったの?」

「郁のが速いし、二人も要らないと思いました。客観的にみて、その時の最善の対応を…」

「それはいい心掛けだよ。だけど前橋さんは女なんだから、肉弾戦になると不利だって事は解るだろう?俺や手塚に助けを求めても構わないから。」


その事実は常に頭の片隅に置いていた、筈だった。改めて言われると心に響く。


「…すいませんでした。」

「今度からはちゃんと危ないときは言うんだよ?」


そしたら、俺が絶対助けてあげるから。

小牧二正はそれだけ言って、何時もの笑顔に戻り、じゃあ寮へ帰ろうか、と立ち上がった。


****


帰ってきたものの夕食を食べる気にならなかったので、部屋で寝ていると騒ぎながら二人が戻ってきた。

「聞いてよ朔、皆笑い過ぎなの!!教官は怒りすぎだし…」

なんとなく想像できる光景に笑いが込み上げる。
意識がなかったのが非常に残念だ。

「二正の怒りっぷりは凄かったよね。僕それで目が覚めたもん。」


…いつかハゲるのでは、と柴崎と盛り上がったのは堂上二正には内緒だ。





肉弾戦と貧血
あ、助けてくれたお礼言ってない…、
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