幸福喫茶連載

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草は無事追試を乗り切ったらしい。
今日も爽やかな笑顔で店番をしている。
もう安倍川爽に改名したほうがいいんじゃないかな。


「草ー、一希ちゃんもおったんか」

「なんや親父、あ、三色団子追加な」

「おぅ!!…やのうて、どっちかさくら迎えに行ったってくれんか?」


なんでも、ボヌールの店長さんから電話があったそう。
いっくんが苦手な草に行かせるのもアレだから、私が行くことに。

いつもの道を逆走していると、学校帰りのかしわんに出会った。


「そないに急いでどこ行くんや一希」

「ボヌールにさくらちゃんのお迎えだよ、かしわんも行く?」

「せやな、潤ちゃんにも会いたいし…行くか!!」


すごく軽いノリのかしわんと並んで歩く。
さりげなく歩幅を合わせてくれたり、車道側を歩いてくれたりするあたり女慣れしてるなぁ。

「こんちわ、さくらちゃん引き取りに来ました…いっくん、重いよ」

「なんでかっしーもいんの」

「一希と道でバッタリ出くわしたんや。さくらは?」


かしわんの質問に、私にのしかかったいっくんが奥のボックス席を指差す。
そこではさくらちゃんとじろちゃんが寝ていた。
やばいこれは和む、そしてハンパなく可愛い。


「寝てるの起こすのもカワイソーだから連れて帰って」

「すまんなぁ、ほら一希帰るで」


さくらちゃんを抱き上げたかしわんと皆さんに挨拶をする。
すると潤ちゃんが爆弾発言。


「なんかそうしてると柏さんと一希ちゃん夫婦みたいですね!!」

「潤ちゃん何を…」

「光栄やなー、じゃ奥さん、帰りましょか?」


悪ノリするかしわんをスルーして店を出た。
許してな、という彼に無言で頷く。

…別に嫌じゃなかったとかゆーのは秘密だ。



私の内心。

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