幸福喫茶連載
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無事試験も乗り越えて、またいつもの日々が戻ってきた。
…だけど今日はなぜか臨時休業で暇になってしまった。
それをいっくんに愚痴ると、今日はボヌールで新作ケーキの試食をするとかで連れてきてもらった。
「いらっしゃいませー…って一郎くん!!と一希ちゃん?どーして…」
「こんちわ。
今日はあべかわやがお休みだから遊びに来たんだ」
「ほえー…今日はあたしの友達も来るんだ!!一希ちゃんにも紹介したげるよ!!」
嬉しそうな潤をみると、人見知りなんだー…とは言い出せない。
いっくんに助けてという意味を込めて目線を送ったけど夢の中にいる。
どうしようどうしよう、潤の友達に冷たい反応しか返せない。
焦ってはいるけどいつもくらい無表情な私に潤が気づくハズもなく、皆スゴいいい人なんだと楽しそう。
「高村うるせえ…お前来てたのか」
「ちーっす。新作ケーキっていっくんが教えてくれたし休みだったから来ました」
いつもは魔王に見える進藤さんも今は金剛力士像くらいにレベルダウンしてる。
むしろ潤のほうがラスボスに見える。
「ああ…ならそこ座れ、持ってきてやる。
…おい一郎、いい加減起きやがれ!!」
「…?おはよ一希」
「うんおはよいっくん」
状況をよくわかってないいっくんは口につっこまれたマドレーヌをモグモグ食べながらエプロンを取りに行った。
いっくんが戻ってきたら助けてもらえるかも、という淡い期待はドアベルに打ち破られた。
「潤っぺー、来たぞー!!」
「壱、もう少し静かにね」
「ははっ、有本、こんなとこで馬鹿露呈しなくてもいいのに」
聞き覚えのある声に思わず振り向く。間違いないけど…
「やほー、一」
なんで一が来てんだろ。
私の再会。