図書館連載

□In the library work
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長きに渡る集中訓練の次は書庫での仕事。座学の復習をする為に早めに書庫へ来た。


「…一番だと思ったのに、なんで居るのさ光」

「なんでって、俺の勝手だろ」


結局二人で復習をしていると小牧二正が来たので一足早く書庫の配置説明を聞いた。

説明が終わり戻ってくると郁と堂上二正と会った。
光と郁の仲の悪さは重々承知しているのでスルーして配置を覚える。


****


図書館開館に伴い戦場と化す書庫内。
こんなだと内勤の人は体力持たないんじゃないだろうか。
わからないことは光に聞くよう言われたので、僕には質問してこない郁。
しかし何度か聞いても覚えられないらしく、光の機嫌がどんどん悪くなる。


「郁、それ貸して、こっちから三番目入って右に運んで」

「え、朔!?」


これなら多少は進みが早くなる。只体力の消耗が激しくて半分も手伝えなかった。


****


昼時になり利用者が引いた。しかし三冊の差し戻しが目に入る。


「―お前のせいだよな」

「…光?」


堰がきれたように郁に対して罵詈雑言を並べる光。
止めたいけど彼が言っているのは正論だからと躊躇してしまう。


「朔はちゃんと朝来て復習してた!!言い訳はやることやってからにしろよ!!」


光の言葉が心に刺さる。
郁を追い詰める理由に使われるならやらなければ良かった。

堂上二正と小牧二正の説得で光はひとまず落ち着いたが気まずい空気が流れる。
結局、午後は郁を除く四人で回すことになった。


「すいません堂上二正、少し出てきます…」


おい、と止められた気もしたけど兎に角一人になりたくて書庫を抜け出した。


****


フラフラと辿り着いたのは非常階段。
座り込んで顔を伏せる。

郁の手伝いをするのがいけなかったとは思わない。
客観的に見て手伝うべきだと思ったから手伝っただけなのに。


考えこんでいて不意にトン、と置かれた手に過剰に反応してしまう。


「ごめんね、驚かすつもりじゃなかったんだけど」

「小牧二正…」


顔を上げると苦笑いをする彼が視界に入る。


「今堂上が手塚と話してるし笠原さんは柴崎さんと出ていったし、俺暇なんだよね」

「でもなんで此処に?」

「浮かない顔して出てった後輩ほっとく程酷い奴じゃないよ、俺」


僕の横に座りながら僕に話すよう促す。
そこで今考えてたことを簡略して説明する。


「前橋さんは別に気にしなくていいんじゃないかな。
復習してたのを笠原さんを責める理由にした手塚の配慮が足りないしね、
手伝ったのはむしろ良い判断だと俺は思うよ」


僕の頭を撫でながら優しく諭すような口調で話してくれる。
今はその手の優しさに甘えておくことにした。





内勤と優しさ

とりあえず今晩から郁の猛特訓かな、

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