図書館連載
□In the lecture
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「コレってあんた達じゃないの?」
「あーそだね、この角度は可愛くないから止めてって頼んだのに…」
「朔あんたちょっと黙ってて!!写真載せないでって言ったのにヒドいっ!!」
柴崎が持っている週刊新世相の公開討論会特集のページの左上には郁と僕がばっちり写った写真が。
「ついでに、笠原宛てにこんなハガキも届いてたんだけど…?」
柴崎の手には一枚のハガキ。それが郁の親からのものだとわかり彼女が叫ぶ。
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「…ということです。郁は両親に防衛員猛反対されてるらしいんで」
「成る程。前橋さんは余裕かましてるけど反対とか受けなかったの?」
一連の流れを一緒に夕食をとることになった小牧二正に説明する。
「僕の家は放任主義なので、一応報告したけど好きにすれば?って感じでした」
「そっか、良かった。
前橋さんに辞めてほしくはないからね」
部下が居なくなるのは寂しいからだろう。僕も辞める気は毛頭ないけど、親の反対にあい辞めていく隊員も少なくないのだから尚更なのだろう。
「…辞めませんよ、この仕事が好きですから」
笑いながらそう伝えると、小牧二正は優しく笑いかけてくれた。
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次の日は朝っぱらから堂上二正の怒鳴り声が響きわたっていた。此処まで言われてると郁の出る幕はなさそうだ。
郁の背中を押して講義室へ向かう。
「最後に一つ重要な報せがある」
そう切り出して告げられたのは「情報歴史資料館」理事長、野辺山宗八氏の訃報。そしてそれに伴う資料館の閉館だった。
「ねぇ朔、今の何が重要なの?関係ない気がするんだけど…」
「…堂上二正にでも聞いて。
座学で何聞いてたのか教えて欲しいよ…」
説明は面倒なので堂上二正に丸投げしておく。多分彼の眉間には皺が入るだろうが仕方ない。
郁との知識量の差から鑑みて、今度光と二人で賃上げ要求を出しに行きたいくらいだ。
葉書と訃報
堂上二正が郁を殴ってくれて少しスカッとしたのは内緒だ、