図書館連載

□In the commander room
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数日後、朝礼の後に堂上二正が玄田三監とともに隊長室のドアを閉めて話し出した。自然と隊長室が気になる。


「有り得ませんッ!」


余りの剣幕、音量の堂上二正の怒声で肩がはねる。


「何かの間違いです、差し戻してください!」

「いいから呼べ!」


二人の声が荒くなり、音量は絞られたものの口論が続いているのは明らか。


「――笠原。入れ」


光、小牧二正と供に郁に案ずる表情を向ける。
郁が何かやらかしたのだろうか、どう考えてもいい話ではなさそうだ。
僕は隊長室へ向かう郁の後ろ姿を見送った。



****



郁が査問会に呼び出された為、午前中の訓練予定を急遽査問についての説明会議に振り替えられた。
一回目の呼び出しは午後。それまでに出来る限り協力したい。

玄田三監達からの説明の途中、光が荒く席を立ち砂川を問い質しに行こうとした。
しかし砂川は心身症で自宅療養の為帰宅しているという。


「…汚いな…男、いや人間の風上にも置けないですね、置く気なんてないですが」

「言うねぇ前橋さん」


軽口を叩きつつ光を宥める。今は堂上二正に抑え役は無理だろうから。
小牧二正もそれを解ってのフォローだろう、既に郁に心当たりがないか問うている。

しかし僕と同じ位砂川と接点がない郁。巡回の時に突っかかったけど郁の一方的加減は僕と光が証言できる。
となると濃くなるのが砂川が尋問で誘導された線。
それは図書特殊部隊が狙われたに等しい。


「玄田三監にこういう攻撃は無意味だと思うんですが」

「俺も前橋さんに同意するよ、まぁ原則派にはこたえるから自重して欲しいけどね」


ちゃんと釘を刺した堂上に代わって小牧二正が郁に説明を続ける。
新人、特に郁みたいに頭の弱そうなのを狙うだろう。僕でも間違いなくそうする。
だから僕は何も言わなかったのたが、光が食い下がった。
小牧二正は苦笑してるし、郁はむくれてるし。
仕方無く僕は光にこっそり耳打ちをした。郁が不機嫌なのはこの際スルーだ。


「光みたいな手強そうなのより、郁みたいなちょっと頭弱そうなの狙いたくなるでしょ?」


嗚呼、と納得した光に郁が噛みついているが話を進める。


「ともあれ、砂川が療養中であることがネックだ」


通常は郁が否定したら砂川の証言の再確認に入るが、今回は水掛け論だろうから言質を取られるとまずい。
行政派には手間暇以外の損失はない非常に狡賢い手段だ。
きっと郁への査問は複数回に長引くだろう。

会議後、査問対策集を郁に渡したら訓練に合流することになった。
小牧二正が急かしているが僕は郁の元へ向かう。


「郁、」

「何朔?あたしなら大丈夫だよ?」

「…無理しないで、僕なら幾らでも力になるから。頑張って」


流石にそろそろ時間だ。郁にレモンキャンディを押し付けて小牧二正の後を追った。





会議と励まし
せめて僕なら良かったのに、


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