楓並木

□UNDERSTOOD
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「無理。」
花道がこの言葉を最初に聞いたのは4月の中程だったか。

場所は放課後の体育館。
この言葉を吐いたのは流川。
そしてその流川の前に立っていた女生徒は涙ぐみ走り去って行った。

それから何回ぐらいこの言葉を聞いただろう。
癪だが、とにかく流川はモテる。
実際は花道が聞いた回数よりも多いだろう。
道端で。屋上で。校庭で。
いつも流川は無表情で、めんどくさそうに「無理。」と言う。


一体これまでの人生において何回この言葉を吐いたのか、花道には想像もつかない。
フラれた女の子の気持ちはかなり想像できるが。


花道と付き合うようになってからも、流川はたまに女生徒から呼び出されている。
努めて聞かないようにしている花道だが、ある日偶然そのシーンに出くわしてしまった。

「…悪ぃな。」
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