リクエスト 3

□願い事、一つだけ 2
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土方は自分の体を、ただ呆然と見詰めた。
体全体が小さくなってしまったのか。着ていた寝着が、肩からずれ落ちている。
しかし、そんなことに気を止める余裕もなかった。

 これは夢か……?

「そうか。まだ夢を見てるんだ」

そう呟く声がいつもの聞き慣れた声でなく、またそれにショックを受けるのだ。
ちょっと待て。落ち着いて考えよう。そう思い、一から考えようとしたまさにその時、いきなり障子の外から声が掛かった。山崎のようだ。
あまりに突然のことで考える間もなく、思わずいつものように返事をしてしまった。

「副長、お加減悪いんですか?もう皆、集まって……」

土方は気付かなかったが、あまりにも放心している時間が長くて、とっくに朝食の時間を回っていた。真選組は朝は皆、食堂代わりにしている座敷で揃って食事する。
神経質なまでに几帳面な土方がいつまで経っても現れないので、心配した近藤が山崎を寄越したのだろう。
山崎はそう言いながら障子を開け、その動きは途中で止まってしまった。
大きく目を見開き、目の前にいる人物を凝視している。土方は山崎の様子を見て、今の自分の現状を思い出した。

「やま……」
「うぎゃぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ!!!」

土方が止めるよりも早く、山崎の悲鳴が屯所中に響き渡った。




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