リクエスト 3
□その名は…、破滅 1
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足音が聞こえる。
まだ小さい音だが、それは確実に己の元に近づいてきている。
昨日より今日。そして今日より明日。
それは少しずつその音を大きくしながら、確実に己の元へ。
その足音の名は・・・、
その名は…、破滅 1 携帯サイト70000打作品
「ご用改めでぃ!」
その日も対テロ組織武装警察真選組は、かなり大がかりな取り締まりを決行していた。
いつものように切り込み隊長である一番隊隊長沖田総悟が、お決まりの台詞を吐きそこに踏み込んだ。
そしてそこで、憮然と立ち尽くすこととなる。
その部屋は、もぬけの殻であった。
元々の情報がガセであったのか、それとも情報が漏れているのか。
最近、こうしたことが頻発していた。
しかしネタは、監察が入念に下調べしている。ガセという可能性は極めて低い。
ということは、やはり情報が漏れていると考える方が、理にかなっているだろう。
「土方さん」
傍にいる副長の名を呼ぶ。
彼もその秀麗な顔を、不機嫌そうに歪ませていた。
「山崎ぃ」
低い獰猛な声が、己の部下の名を呼ぶ。
呼ばれた山崎は、声も無く彼の傍に控えた。
「内通者がいるはずだ。あぶり出せ」
「はいよ」
真選組鬼の副長と呼ばれる男が命じるその声に、山崎は返事を返しその身を翻す。
土方はそれの後姿を、じっと目で追った。
「土方さん」
沖田の呼ぶ声に、ハッと我に返る。
相手がいない以上、ここにいても仕方がない。
「引き上げるぞ」
そう言って踵を返すその背を、沖田は鋭く見据えていた。
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