リクエスト 3

□プロポーズ大作戦?!
1ページ/7ページ


ハァ・・・

大きな溜息が落ちるのを、その場にいた者全てがさも鬱陶しそうに遠回しに見ていた。

「なんなんっスか?アレは・・・」
「何でも、この前視察に行った時に一目惚れしたそうです」
「一目惚れたァ、よっぽど美人なんですかねぇ?」

遠回しに見ている三人は、また子、変平太、似蔵である。
その三人が見ている前で、話題の中心人物はまたもや大きな溜息を吐いていた。

「一目惚れだぁ?んなもん、犯っちまえばいいんだよ」

いきなり話しに割り込んできた男に三人は、ずざざざざざっと後退った。
そこには彼らが盲目的に敬愛する指導者が、クツクツと人の悪い笑みを浮かべて立っている。

「晋助様!」

突然の登場に、また子は嬉しそうに微笑みながら近寄っていくが、高杉はそれを鬱陶しそうに払いながらその男を見た。
その目線の先で、三度彼は大きな溜息を吐いている。

「オイオイ、えらく重症じゃねぇか。どこの別嬪かしらねぇが、女なんざ犯っちまえばこっちのもんだろ」

お気に入りの煙管から紫煙を燻らせながら、そう高杉は事も無げに言い放つ。
それに変平太の冷静な声が、爆弾宣言を落とした。

「いいんですか?相手は、真選組の土方だそうです」
「・・・・・・・・・・・・・・・」

その瞬間高杉は口をあんぐり開け、煙管を落とした。
一面に、カラーンという音が響く。
三人は手をプルプル震わせている高杉を、吃驚したように見詰めた。

「万斉!てめぇー、コノヤロー!!土方は俺のもんだァァァァ!!!」

突然大声を出す高杉に、名指しされた先程から溜息を吐いていた男、河上万斉は俯いていた顔をガバリと上げ高杉を見た。
一瞬、その異様な雰囲気に四人はたじろぐ。
万斉はそのまま、まるで幽鬼のように立ち上がった。

「本当でござるか?」

高杉に近寄りながら、聞こえるか否かの声でそう尋ねてくる万斉には、鬼気迫るモノがあった。

「本当に土方殿は、もう既に晋助のものでござるか?」

ここで首を縦に振ろうものなら、四人纏めて刀の露と成り果ててしまいそうなほどの迫力に、さすがの高杉も首を振って否定する。
その途端、万斉の雰囲気は一気に柔和になり、微笑を浮かべた。

「それはよかったでござる。土方殿が既に毒牙に掛かっているのかと心配し申した」

ほっと胸を撫で下ろし万斉はさらりと、辛辣なことを言い放つ。
それに高杉が、どういう意味だ!と噛み付いた。

「まだ正式にお付き合いしてないなら、拙者が土方殿に交際を申し込んでも異議はござらんな?」

そんな高杉の叫びは見事スルーして、万斉はにっこりと微笑んで高杉に宣戦布告した。





上等だ!!と粋がる高杉の顔色は、少し悪い。
大丈夫ですか?晋助様!?と心配するまた子を押しのけ、高杉はふらふらとアジトを後にし、とある場所に
向かった。





その日も相も変わらず仕事のない万事屋銀ちゃんでは、やはり相も変わらず事業主は従業員に文句を言われながらソファにだらしなく寝そべり、鼻をほじりながらジャンプを読んでいた。
そこへ、ピンポーンと軽い呼び鈴が鳴る。
はいはーいと言うだけ言って全く動こうとしない銀時に、流石に新八がキレた。

「とっとと出んかーい!!!」

と、持っていた掃除機を投げつけられたのだ。





ったく、人使いが荒い、などとブツブツ言いながら、銀時はやる気なく扉に向かう。
そこで再度、呼び鈴が鳴った。

「新聞なら間に合ってるよ」
「新聞じゃねぇ」
「じゃ、出張ヘルスなら・・・」
「ンなわけねぇだろぉぉぉ!!!」

とうとう相手はぶちキレたようで、最後の怒号と共に扉が銀時の方へ吹っ飛んだ。
それをひょいと避け銀時はボリボリと頭を掻きながら目の前で、荒く息を吐いている男を感慨なさげに見る。

「オメェ、どの面、下げてここに来たんだ。コノヤロー」
「やかましわァァァァァ!!!」

全く緊張感のない銀時の目の前に立つその男。それは先日、まさに命のやり取りをした相手、高杉晋助が興奮した
面持ちで銀時を睨みつけていた。





.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ