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□男の約束。
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時計の秒針が響くほどの静かな
部屋。
そこにベッドを挟むようにしてフェイタンとヒソカが立っていた。
『言とくけど、ワタシ、譲る気ないね』
『生憎、僕も譲る気はないなぁ★』
フェイタンとヒソカの間には見えない
火花が散っている。
『ワタシは、ずと前からあきが
好きね。お前なんかよりずとな』
『なんでそんなことが分かるんだい?
君は他人の心を読めるような念能力はもっていないはずだ◇
僕のほうが先だ◇僕はずっとずっと前から』
ガチャっ
『おっと★あきのお帰りだ◇』
あきの足音がどんどん近くなる。
『ただい…。って!!ヒソカ!!!!
…と。え!?フェイタン??』
奥のほうにいるフェイタンは暗くて
よく見えない。
『おかえり◇』
『おかえりね』
ヒソカとフェイタンの声だ。
間違いない。
『あ、ただいま…。ってかどうやって入ってきたの…。鍵はちゃんと掛けたのに…。』
あきは少し散らかっていた部屋が恥ずかしくなり部屋を片付け始めた。
『窓、開いてたね。』
フェイタンは自分の後ろの窓を指差す。
『え!?』
片付ける手を止め、窓に駆け寄る。
そこをみると確かに空きっぱなし。
『ああぁぁーホントだああ!
危ないなあー』
ガチャンと窓の鍵をしっかりと
閉めたあき。
『ククク、あきは可愛いなあ◆
もし泥棒なんかが入ってきたらどうするの◇まあ、そのときは僕が真っ先に駆けつけて君を守るよ★』
ヒソカはゆっくりとあきに歩み寄りあきの頭をポンポンと撫でた。
『ははっヒソカーありがとう』
その行為をフェイタンは見逃さない。
ギロリとヒソカを睨み付け
『おいお前。さき二人で決めたこともう忘れたか?あきに今日、決めてもらうね。』
『忘れてないよ★
大丈夫、手は出さない★』
ヒソカはあきの頭の上から手を離しフェイタンの方へ身体をむけた。
『もう手出してるね。』
ボソッとフェイタンは呟き、ヒソカをもう一度睨んだ。
ー今日、二人は約束した。
あきにどちらかを選んでもらおう。そして、それまではあきには手を出さない。
選ばれなかったほうは潔く諦めること。