薔×薇
□甘くてなんぼ
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『甘くてなんぼ』
「ハッピーバレンタイーン!」
弾ける笑顔でナミが言った。
ロビンと2人、手には可愛いラッピングの袋。
昼食を終えてのほほんとしていた男達は、一斉に2人を見た。
「おいナミ!何だそれ?肉か?」
「肉なわけないでしょ!!バレンタインなんだから。」
「恵まれないみんなに、私達から差し入れよ。」
テーブルにクルー分の差し入れが並べられた。
「ナミすゎん!ロビンちゅわん!ありがとう…!君達は女神だ!」
「今ロビン…サラッと酷いこと言わなかったか?」
「ぉ、俺…聞かなかったことにするぞ!!」
「さ、みんな持ってって!!」
ナミに促され、男達はそれぞれ袋を手にした。
おやつの時間。
「実は俺も用意してたんだ。」
サンジは大きな皿いっぱいにのったクッキーを持ってきた。
チョコのかかった大きなクッキーだ。
丸い形とは別に、ハートの形がいくつかある。
「ハートはナミすゎんとロビンちゅわんのです♪
てめえ等食うなよ。」
「「へいへい…。」」
「ありがと、サンジ君。」
クルー達は、紅茶を飲みながらナミ達やサンジの作ったお菓子を食べた。
ただ一人を除いては。
おやつの時間が終わり、サンジが洗い物をしている頃、
その男はキッチンにやって来た。
ドアの音でそれを知ったサンジは振り返らずに言った。
「お前遅ェよ。」
「悪ィ。」
おもむろに椅子に座ったゾロは、
テーブルの上のクッキーに手を伸ばした。
サンジはクルー達が紅茶を飲んだカップを回収しようと、テーブルに向かった。
「ああっ!?」
「え?」
クッキーを食べるゾロを見て、サンジが声をあげた。
「てめえ!!何ハートのクッキー食ってんだよ!?
それはレディの為に作ったやつ!!お前は丸いの食え!」
「んなこと言われても、ハートしか無ェし…。」
「え…?」
ガーン…
「2人とも食べてくれなかったのね…。」
その事実に、サンジは項垂れながらカップを片付けていた。
そんなサンジをよそに、ゾロは2枚目のクッキーに手を伸ばした。
「美味いな、これ。」
「……ぇ…。」
自分に向かってそんなこと言ったことも無い男が、
本当に美味そうに目の前のクッキーを食べている。
「これ食っちゃっていい?」
しかも、そんなことまで言うなんて。
サンジは愕然とした。
「…ぁ、ああ!!いいよ食え!何だお前可愛いなクソ!!」
「は?」
思わぬところに恋の予感。
Happy Valentine.
終。
恋する前の二人って、そういえば初めてかしら。