薔×薇
□1年記念日
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今日って何かあったか…?
『1年記念日』
恋人として1年も一緒にいれば、
顔を見なくても相手の機嫌はわかってしまうものだ。
キッチンに立つサンジの背中は、明らかな上機嫌を謳っていた。
鼻唄まで奏でるその背中を、ゾロは不思議そうに眺めた。
何があったんだ、アイツ…
何か良いことだろうな。
俺の知らねえところで何だよ…。
不思議そうな顔は、次第に険しくなっていく。
若干の不信感を募らせ、ゾロは夕食を運んでくるサンジを迎え撃つのだ。
お…?
迎撃用意と身構えたゾロであったが、出された御馳走に目を奪われる。
サンジの飯はどれも美味いが、今日はゾロの好物ばかり。
「美味そだろ?」
ふふん♪と鼻を鳴らすサンジの顔はやはり上機嫌だった。
「今日、どうしたんだよ…。」
「えっ…?」
内心、非常にテンションの上がっていたゾロは、気持ちを抑えて問い掛けた。
飯でチャラにする程、俺は軽くねえぞ…ゴクリ。
「お前覚えてねえの?」
「…は?」
えっ、何が…?
ちょっと待て何の話だ。
「何だよ、折角張り切ったのに…。」
溜め息混じりに吐き出された言葉は、大暴落したテンションを物語る。
ななな何だよはこっちの台詞だ!!
ぉ、思い出せ俺…!
おも……やっぱ無理!!←
「ゎ、悪ィ…でもわかんねえ!」
正直なゾロに、サンジはジト目を向けた。
物凄い速さでゾロの両頬を摘み、話した。
「今日は1年記念日だろーが!」
「ひてーよ!やめろ!」
離された頬を押さえながらゾロも反論する。
「何だよ1年記念日って…。」
「はっ!?俺とお前が付き合って1年の記念日に決まってるだろ!?」
熱く言い放った後に、サンジは温度差を感じた。
眉間に縦皺を寄せた恋人は、正直可愛くない。
「1年…だからなんだよ。」
どんがらがらぴっしゃーん☆
え…な に そ れ 。
頑張った俺なに…(^qW)
「いっ、1年だぞ!?特別じゃねえのか!?」
「じゃあお前…!」
サンジの胸ぐらを掴んだゾロが顔を近づけて言う。
「昨日は!?一昨日は!?俺といる他の日は特別じゃねえのかよ…!?」
自分のシャツを思い切り掴んだ手に触れると、
その温かさに力が緩む。
その手を解かせて、サンジはゾロの後頭部に手を添えた。
「んな切ない顔すんな。」
「ぅ…。」
「お前は俺にとって特別に決まってんだろ?
だからお前の好きなもん作ったんじゃねーか。
そりゃ毎日作ってやりたいけど、今日はまた格別だからな。」
赤い顔でサンジの言葉を聞いていたゾロは、サンジに抱き着いた。
「ごめん…。」
「え?」
「今日のこと、覚えてなくて。」
ゾロが時々見せる子供っぽい一面は、
サンジがゾロの好きなところの1つだ。
お前ホントに可愛いな…。
頭に過った台詞は後でたっぷり聞かせてやろうと、サンジは密かに笑った。
「ほら、早く食おうぜ。折角気合い入れて作ったんだ。」
「おう。」
「いただきます!!」
手を合わせるゾロを見て、
やっぱり自分の恋人は可愛い
と実感するサンジであった。
終。
コック見習い×大学生の設定かなと思ってみたり。
1周年本当にありがとうございます。