薔×薇

□惚れた方の負け。
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あーあ…敵わねえよなあ。


『惚れた方の負け。』


3月1日深夜。
日付が変わりそうになる頃、その男はキッチンにやって来た。

「どうした?眠れねえ?」
「ん…。」

船番でもないコイツがこんな時間に起きてくるのは珍しい。
酒が飲みたいって言うから、今ツマミ作ってやってるとこ。
俺ってなんて優しいの。

「出来た、と。」

既に半分以上の酒を飲み終えているゾロの前に皿を置く。
マリモ野郎は無言で食べ始めた。

なあ、お前はわかって此処に来たのか?
もう12時過ぎたんだぜ?
俺が煙草を我慢して、こうしてお前の行動を静かに見守ってんだ。
……察せよな…!!

とは思ったものの、それは希望であり、
コイツが何かしてくれるなんてことは予想していない。
案の定、ゾロはツマミを平らげ、酒を飲み干そうとしている。

「…なあ、今日何の日か知ってるか?」

あー聞いちゃった…。
俺カッコ悪い…。

ゴキュ

「……。」

空になった酒瓶をくわえたまま、ゾロは初めて俺の目を見た。
ソレそそるからヤメロ。

暫くの停止の後…

ダンッ!!
ぉ!酒瓶置いた!

ガタン!!
ぉ!立ち上がった!

んちゅ!!

「……………。」
「……………。」

バッ!!

俺から離れたゾロは、有り得ないくらい顔を赤く染め、頭の緑と合わさって
「クリスマスカラーか!」
とツッコみたくなる程だった。

「ご、ごちそうさまでした!!!!」

大声を張り上げて、クリスマスカラーは物凄い勢いで出ていった。

残された俺は、未だに煙草を吸うことなく固まっています。

「……クッソ可愛いんだよヴォケェェエエェエッ!!!!」

俺の想いも思わず弾けてしまいました。


「あの馬鹿…。」



――その夜。

今日は俺の誕生日だから、ゾロが素直だ。
コイツなりのプレゼントなのだと考えると、
やっぱりクソ可愛いよなコイツ…。

「なあ、あのごちそうさまでしたってツマミの感想だよな?」
「はっ…他に、何があんだよ。」
「…いや、別に?」

ニヤける口元を隠すように、ゾロの手にキスをした。
あーあ…もう、クッソ好きだよ。
惚れた方の負け、だよな。


「ぁ、12時過ぎた。誕生日終わったな。じゃあな!」
「ぇ!?ぇ、ちょ、ええっ!?ハケンの品格!?」
「茶々、誕生日おめでとう。」
「軽く手あげて何言ってんだお前ェエエェエッ!?
俺の感動的な想い返せェェエエェエッ!!」


こうして俺の誕生日は終わった。
あのマリモめ…。

その後ゾロが
「ごちそうさまでした」
の質問の意味に気付いて眠れなくなっているのを、俺は知らなかった。


Happy Birthday Dear Sanji!!!


終。



茶々とは、御屋形様(楽斗さん)のとこでギター弾いてる方です。
3月3日が誕生日。
ハケンの品格は、古いネタ持ってきてすみませんww
「定時で帰る」あれです。←
でも、ゾロがサンジに抱かれるのは仕事じゃありませんからね…!


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