薔×薇

□ゼリー
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雲一つ無い青空は、穏やかな海と見間違えそうな程。
ゆったり進む羊の背中で、クルー達は珍しく平和な時間を過ごしていた。


『ゼリー』


キッチンのドアの横でゾロが寝ている。
彼の昼寝はいつもと変わらない。

ガチャ

「くそ野郎、入れ。」

キッチンからひょいと顔を出したのは、コックのサンジ。

「あ?あんだよ…。」

そんな生返事をしながら、ゾロは中に入った。


「これ、食ってみろ。」

ゾロの前につき出されたのは、プルプルしたゼリー。

「ゼリー?毒味かよ。」
「まぁ、そんなとこだ。」

パクリと、ゾロが一口。

「不味かないけど、甘くないな?」
「甘くないか…ちょっと貸せ。」

サンジはゾロの手からゼリーを取り上げ、自分も一口口に入れた。

「最初からお前が食えば良かっ…。」

目を見開いたゾロのすぐ目の前にはサンジ。
口の中には生暖かいゼリーと唾液。
チュッという音を立てて、サンジはゾロから離れた。

「これでも甘くないか?」
「……アホ!!くそあめーよ!」

バタンッ

顔を真っ赤にしたゾロは、物凄い勢いで出ていってしまった。


キッチンに一人残ったサンジは、口許をニヤつかせて一服。

「甘過ぎるぜ…くそ野郎。」

彼が吐き出した煙は、名残惜し気に宙に消えた。


終。




甘いことしても言っても、澄ました顔したコックが好きです。
コックに絡まれると弱い剣豪が好きです。

お付き合いありがとうございました!;


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