薔×薇

□生まれてきてくれて
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『生まれてきてくれて』


「…も、……も。」
「んんーー…?」

誰かの声が俺を深い眠りから呼び起こす。

「んー…。」

なかなか起きれねえでいると、頭に衝撃が走った。

「起きろ!クソマリモ!!」
ボカッ!

「いってえ!!何しやがんだよクソコック!!」

コイツのことだ…蹴りの一つでもいれてきたんだろ。

「俺だってわかってんなら早く起きろよ!」
「何だよ、いってえな…まだ夜中じゃねえかよ。」

時計を見たら、まだ夜中の0時。
不機嫌な顔を上げると、コックの顔がすぐ近くにあった。
コックを避ける間もなく、2つの影は重なった。

「ん…。」

頭を押さえられていて逃げられない。
なのに…

「ん…ふ…っ……ん…ってなげえよ!!殺す気か!!」

冗談で言った言葉に、真っ直ぐな目で返されて困る。

「誰かに殺られるくらいなら、俺が殺してやりてえ。」
「!」

心拍数が跳ね上がった。
その言葉に動けないでいると、
はりつめていた糸が切れたようにコックが笑った。

「冗談だよ。俺がてめえを殺せるはずがねえだろ?」
「知るかよ…。」

頭を撫でながら言うコイツから視線を外して答えると、
顎をつかまれてまたコックと目が合った。

「知ってるくせに。」

少し寂しそうに笑って軽いキスをするコック。

「何だよ…。」

鳴り止まない鼓動で、自分でも殆ど聞こえないほどの声で聞けば、今度は抱き締められた。

「誕生日おめでとう。」

微かに聞こえたそれで、今日という日を自覚する。

コックの肩に顔を埋めて言った礼は、コイツの耳にちゃんと届いただろうか。
今日は、俺の言うこと聞いてもらうからな…。


Happy Birtday Dear ZORO!!


終。


きっと酒無くなっちゃうね。


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