薔×薇
□傷
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俺が入る隙なんて、あんのかよ。
『傷。』
クチュ…
粘着質で卑猥な音。
最近、耳にする機会が増えた。
まあ、増やしてるのは俺なんだけど…。
「はぁ…はぁ…。」
ゾロの眉間には皺が刻まれる。
だけど、最初の頃より、容易く俺を受け入れるようになった。
肉体的にも、精神的にも。
「痛い…?」
俺より目線の高くなったゾロは、俯き、目を固く閉じて首を振る。
軽く湿った睫毛に、愛しさを感じずにはいられない。
その睫毛にキスをすると、ピクリと震える体。
「ん…。」と零れた声と一緒に口を塞ぐ。
甘い味に慣れてしまった。
でも―――
どれだけキスをしても、
どれだけ体を重ねても、
気にかかることがある。