薔×薇

□背中
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「お前背中綺麗だよな。」

風呂に入ろうと思って服を脱いでいた俺に、アイツが話し掛けてきた。

「そうか?」

後ろを少し気にしながら軽く答えると、近付いてくるのがわかった。

「傷もねえし、ニキビもねえし。」

背中を伝う冷たい指先。
それとは逆に暖かい唇。

「ツルツル。」

振り返って手を取ると、自分の体温が移っていく。

「今日は冷えるな…。」
「明日の仕込み、やってたしな。」

コックの右手を見つめて何となく聞いていると、優しく引き寄せられた。
『よしよし』と言わんばかりに俺の頭を撫でる手は、俺の全てを見透かしてる。


『背中』



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