薔×薇
□星に願いを
1ページ/1ページ
『星に願いを』
「すっげえ雨…。」
窓の外を見ながらゾロが言った。
ベッドに寝転がっていた俺は、その声にゆっくりと窓の方を見た。
ああ、確かにすっげえ雨だ。
いつもの景色は、霧に覆われていて見えない。
ベッドの縁に下ろされたゾロの足が、無造作にかかったシーツから見え隠れする。
スラリと伸びたそれから、後ろの曲線まで、思わず目で辿ってしまった。
俺はもう一度窓を見てから、ゾロの腰元に抱きついた。
「織姫可哀想だな。」
「ん?ああ、七夕か。」
「俺等はこうして一緒にいられるのにさ。嵐だって大雪だって。」
首筋に唇を寄せると、ゾロの視線が窓から離れた。
「そだな。」
肩越しに俺を見たゾロにキスをする。
胸が苦しい程に幸せ。
「お前短冊に何て書いた?」
俺が聞くと、ゾロは俺を一瞥してから投げ出していた足をシーツの中に入れた。
「…書いてねえ。」
長い睫毛が震えた。
「嘘つけ。俺と結婚できますようにって書いたんだろ。」
「誰が書くかよ!」
そう言って睨んでくる顔を笑顔で見つめ、ゾロを腕の中に収めた。
「まあ、いいや。お前はここにいるからな。」
腕の中でゾロが少し笑った気がした。
湿気の多い部屋で、俺等は飽きる程抱き合っていた。
終。
あまーい。←
願い事の内容は、皆さんそれぞれのSZで。