ドルフィン学園

□恋心はチャリに乗せて
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ドルフィン学園というふざけた名称の学園に入って2年目の春。
シャンプーが1年遅れで入学してきた。
朝は相変わらず、チャリでどつかれながら登校していたが、
それをされなくなったのは、ちょうど梅雨が明けた頃からだった。


『恋心はチャリに乗せて』


最近シャンプー見ねえな…。

登校の形はどうあれ、毎朝一緒に登校していたわけで。
穏やか過ぎて、少し、変な感じもする。
隣のあかねも朝から怒鳴ることが無くなった。

「ねえ乱馬、英語の課題やった?」
「ぁ、やっべ、やってねえ。後で工藤に見せてもらうかな。」
「またー?たまには自分でやりなさいよね。」
「へいへい…。」

…怒鳴りはしねえが小言は増えたかも。

チリンチリン

ピクッ

チャリのベルが聞こえた。
勢いよく音の方を見ると、近所のオッサンだった。

「おじさんおはよう!」
「おはよう、あかねちゃん。乱馬もおはよう。」
「…おはよう。」

オマケみたいに言うなよ…。
って、そうじゃねえよ。
俺ァ何を期待してんだ。

「……。」

少し、頭を抱えた。

抱えた頭を上げると、また別のチャリが見えた。

「ぁ…。」

『うっひょー!お前フェンスの上チャリで走れんの!すっげえ!』
『こんなの朝飯前アル♪』

紫色の髪におだんご。
シャンプーだ…。
その後ろには、黒髪の男子。
左目の下に傷がある。
確かルフィとかいう、エース先輩の弟だ。

二人乗りで学校に向かう姿は、仲良さげでやけに爽やかだ。
思わず目を反らした。

「なあ、英語の課題、やっぱお前の見せてくれねえ?」
「えっ?べ、別に良いけど…。間違ってても文句言わないでよ!」
「おう、さんきゅ。」

気付けばチャリは、見えなくなっていた。



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