薔×薇

□お前の匂い
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そうだ、不味い。
アイツが俺等に食わす飯で不味かったものなんて一つも無ェのに、
キスはただ苦いだけで不味い。
特に吸ってる最中とか、吸った直後はひどい。

ヤメロと言えばアイツは禁煙するだろうか?

いやでも、アイツは相当なヘビースモーカーだ…。
急に煙草が無くなったら急激なストレスで禿げるかもしれねえ…。

だからと言って、何も言わないでこのまま過ごすのは、
こういう関係になったのにおかしくないだろうか…。

…そうは言っても何て言おう?
ストレートに言うべきか?
でもあんな理由でアイツが納得するのか…?
それとも体の為とか何とか言ってみようか…。

いや、でもな…。

「ど、どうしたんだよゾロ!?」

相当悩んでいたらしい。
愉快な仲間達が周りに群がっていることにも気付かなかった。

「へ?」

「ゾロ!!悩みがあるならこのウソップに相談してみろ!」
「ぉ、俺もいるぞ!!」
「あんたが昼寝もしないで考え事なんて、天変地異の前触れ?」

「お前等、俺が起きてるのがそんなに珍しいか…。」

「「「「うん!!」」」」

コイツ等…。

「皆さんお集まりでどうした?」

群れの隙間からコックの顔が見えた。

「聞いてよ、サンジ君。
あのゾロが、今日は昼寝もしないで考え事してるのよ?」
「そ、それは天変地異の前触れでは…!?」
「お前等グルか。」

おやつの乗った皿を片手に言うコックに
冷ややかなツッコミを入れると、俺の方を向いてまた言った。

「考え事なんてらしくねえな。悩みがあるなら言えばいいじゃねえか。」
「……。」
思わず目を反らした。

「そうだぞ、ゾロ。悩みがあるならこのキャプテ「おやつだっ!!」

ドゴッ!!

ウソップは親切に俺に声をかけてくれたが、
おやつを目にしたルフィに飛ばされて消えた。

サンジの登場で、クルーの目線はすっかりおやつに移った。
アイツが作るもんはなんだって美味いからな。
今日のは「マフィン」ていうらしい。
美味そうな匂いがする。

…正直助かった。
みんなに言えるわけねえし…。
こんなくだらねえこと…。

「言ってみたら?」
「え?」
声の方を見上げると、ロビンが微笑んでいた。
「きっと聞いてくれるわよ。」
「……。」

何でロビンにはわかるんだろう。

「ロビンちゃんお茶入ったよ!
おいクソマリモ!!珍しく起きてんだからてめえも食え!!」


「珍しくってうるせぇよ…。」
「剣士さん行きましょ。」
「ああ…。」
ロビンに促されて腰を上げた。

…そういや、俺今日船番だ。



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