薔×薇

□傷
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一本の傷。
ゾロの体を真っ二つに分けるソレは、お前とアイツを繋ぐものみたいに思えて、
見る度俺は勝手に負けたような気分になる。
見せ付けられてる気がしてムカつく…。
しかもコイツ、ここ反応良いし…。
指でなぞるとガクガク震える可愛い奴。

「あっ…ん…。」

お前のこんな声を聞けるのは俺だけなのに。
お前は確かに此処にいるのに…。

傷をなぞる指に力が入る。
快楽に歪むゾロの顔を見上げながら、引っ掻くくらいの力で。

「やっ…しつけえ…。」

ゾロの言葉は耳に入れず、更に左胸に噛み付き舌で遊ぶ。

「あぁっ…あ、ん…。」

お前の声聞くと、興奮するよ。

「なあ…。」

指は止めずに、ゾロの顔を俺の方に向かせて聞く。

「俺のこと考えてる?」
「……?」

荒い息と潤んだ目が俺を見下ろす。

暫くの沈黙の後、俺は指を離してゾロに集中しようとした。
すると、その指にゾロが自分の指を絡めて取った。

「ゾロ…?」

俺の左手を顔まで持っていくと、手の甲にキス。
一瞬視線を交わすと、抱きついてくる。
キュウッという効果音でも聞こえそうなハグ。
ゾロの切なさが伝わってくる気がした。

「ぞ…。」

また名前を呼ぼうとしたら、髪をわしゃわしゃ乱され、そこにキスまで落とされた。

「何、だよ…。」

俺の声に手を止め、真っ直ぐ俺を見る。

「『何だよ』は俺のセリフだ…。」
「は…?」

フーッと息をついて、また抱きついてくるゾロが、幼く見えた。

「一緒にいる時くらい、お前のこと考えさせろ…。」

聞こえた言葉に、体が喜びで震えた。
幸せ過ぎて死にそう。


ゾロを離さないように、俺も背中に手を回すと、腕の中のゾロがビクッと揺れた。

「…おい。デカくなったぞ…。」
「わりぃ…。動くぜ。」
「ぇ、あっ…あっ…。」


今夜はしつこいくらいに抱いた。
今俺の隣で無防備に寝てる奴が、三刀流の使い手だなんて信じられねえな。

「今は俺の夢見ろよ。」

額に軽くキスをして、俺も目を閉じた。



終。



クサい…。←

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