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□キス
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「なあゼロロ〜」

「何、ケロロ君」

「オマエさぁ・・・キスしたことある?」

「え!な、ないよ!!」

「何か漫画とか読んでると、そういうシーンいっぱい出てくんだよなぁ」

「そうだね」

「何が楽しいんだろうな?」

「さあ・・・・・・」

「ゼロロ」

「どうしたの?」

「オマエで試していい?」

「!?」

「・・・・・・・・・」

「え、ちょっケロロ君っ?」

「プッ・・・・・・冗談だよ」

「驚かさないでよ!」

「でも」

「・・・・・・?」

「ギロロにでもやってあげたら?」

「ギロロ君に?何で?」

「絶対喜ぶから」

「??」

「あー笑える」

「何でそんなにニヤニヤしてるの・・・・・・」

「べ〜つにー」





















ゼロロはオレに向かって、ついこの間ケロロとそんな話をしたのだと言う。

あの野郎・・・・・・・・・っ。

どんなアドバイスなんだよ、友達にキスしろとか。

「ギロロ君はしたことある?」

「いや、ないな」

ゼロロはそっか、と言ってからそうだよね、と付け加えた。

何かほっとした表情にも見えて・・・・・・こういうのも変だけど、さ。

可愛いと思う。

・・・・・・・・・オレは何を考えているんだ・・・・・・。

「ケロロ君が言ってた通り、何の為にするのか分からないし・・・」

確かに、することにどんな意味があるのか、とか

どんな気分になるのか、とかオレには見当も付かない。

でも、何となくイメージはある。

「す、好きな奴にするもんだよな・・・・・・?キスって」

ゼロロはこっちを見て、小さく頷いた。

「僕には全然分からないけど・・・・・・そういうものなんだと思う」

「そ・・・そうだよな」

何でオレはゼロロとこんな話をしてるんだろう。

少し照れくさい。

それもこれもケロロがゼロロに変なことを言ったせいだと思う。

アイツのせいでオレは無駄に意識させられてる・・・。

「ギロロ君?どうしたの?」

「い、いや!何でもない」

こういうカンジを何て言うんだろう。

好奇心・・・・・・か?

キス、がどんなものか知りたいような怖いような・・・。

そうして考えていたらゼロロが話し掛けてきた。

「ギロロ君。キスってさ、好きな人にするんだよね」

「お、おう・・・・・・」

ゼロロは笑って言う。

「僕はギロロ君のこと好きだけど、別にキスしたいとかって思わないし・・・・・・」

・・・・・・・・・・・・。

そりゃあそうだろうけどさ・・・・・・。

普通に考えて男同士だし。

「何か違うんだろうなぁ・・・」

ゼロロは考えている。

今度はオレがゼロロに話し掛ける。

「じゃあゼロロは誰としたいんだ?」

「え・・・・・・分かんない・・・」

「そっか」

ゼロロはオレの顔を覗き込んでくる。

少しだけ、ほんの少しだけドキッとした。

「ギロロ君は?」

オレは・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・今のオレは変だ。

さっきも思った通り、キスなんて男と女でするもの。

それなのに何故だろう。

キスをしたい相手と言われて頭に浮かぶのは・・・。

「・・・・・・・・・オレも特にいない」

ゼロロは笑っている。

「そうだよね」

何でだろ。

ちょっと嫌な気分だ。

「ゼロロ」

オレの声を聴いて、ゼロロは微笑んでいた。

「なぁに?」

「する気はないんだろうけどさ、もしも」

「うん」

ゼロロの顔を見てると言葉が詰まりそうになるけど、オレは続ける。

「もしもオレとゼロロがキスすることになったらどうする?」

自分でも馬鹿っぽい質問だと思う。

でも気にしない。

というか気にしないことにする。

「僕とギロロ君が・・・・・・?」

「うん」

ゼロロは目を瞬かせていた。

「ぜ、ゼロロは・・・嫌、か・・・・・・?」

勇気は振り絞ったつもりだ。

ゼロロは首を傾げて言う。



「・・・・・・何で?」



「え」

オレは多分変な顔をしていたと思う。

「別に嫌じゃないよ?」

「男同士なのに?」

「それって悪いのかな?」

「さ、さあ・・・・・・」

ゼロロは笑って言ってくれた。

「したいって思ってるわけじゃないけど、僕ギロロ君のこと好きだし。

・・・・・・・・・それじゃあダメなのかなぁ?」

ダメ・・・・・・?

人がそう思わなければいいのか。

たまにゼロロはつかめない奴だと思う。

「わ、悪くはないんじゃないか・・・?」

オレにはその言葉しか思い付かなかった。

「そうだよね」

ゼロロはやっぱり笑顔でいる。

「じゃあさ・・・・・・」

「何?」

オレは勢いに乗って切り出すことにした。

冗談と思われても構わない。

「オレが今したいって言ったらどうする?」

「キスを?」

「キスを」

ゼロロは少し考えてから言った。










ギロロ君が僕のことを本当に好きならいいよ





















「おはよ、ギロロ」

「おはよう」

「なあ、ゼロロと何かあったぁ〜?」

「・・・・・・オマエ、ゼロロに余計なこと言っただろ」

「ギロロ喜ぶでしょ?」

「・・・・・・・・・オマエだって同じくせに」

「お、オレは関係ないだろ〜」

「とにかく。これからはゼロロに変なこと言うなよ」

「ってことは何かあったワケ?」

「・・・・・・・・・・・・黙れ」

「図星かよ!何があったの?!」

「うるさい」

「何?照れてんの?」

「・・・・・・」

「痛っ!殴るなよ!」

「遅刻するぞ」

「あ、待てよー」

「・・・まあ・・・・・・」

「ん?今何か言った?」

「別に」










まあ、なかなかくすぐったいもんだ。





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