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□変化
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最近、ケロロ小隊はドロロ先輩のことを気にしすぎなんじゃないですか?

赤ダルマさんとカレー博士はどうでもいいんですけど・・・。

・・・・・・軍曹さんまで虜にするなんて!

あの女同様に、とまではいかなくても少し腹が立つですぅ。

そりゃあ、ドロロ先輩は顔立ちがよくて性格もよくて・・・・・・。

泣くと可愛くて普段はカッコよくて・・・・・・。

それで・・・・・・って。

モテる要素ばっかじゃねぇかゴラァ!!

とにかく!

自分から行動しないことには、納得もできないということで。











「あ〜ん?ドロロ先輩の魅力ぅ?」

まずはカレー博士。

「そうさなぁ〜」

この人は特にねちっこく固執してるから、聞いておきたいところですぅ。

「まず泣きやすいってのはポイントだよな。

友情的なもので蔑ろにされるとすぐに泣くくせに、

恋愛関係じゃあむしろ逞しくて強がるんだゼ?

その変なプライドのおかげで余計に泣かしたくなるっつーか。

アサシンだけあって我慢強くてなァ・・・。それがまた、な・・・燃えんだよ。

しっかしホントどうやったらオレの手に落ちてくれんだかなあの可愛くねぇ先輩はよぉ。

そりゃあ内面も見た目も可愛いですよ?

でもなんつーのかな、どうにもあの意地っ張りなとこっつーのか、

オレを恋愛対象として見ようとしないとこが」

「ありがとうございました」

こんなヘンタイの話は聞いていられないですぅ。

僕は至ってノーマルな男の子なんで。

「今度カレー奢れよな」











「ど、ドロロの魅力ぅ・・・?何を言っとるんだオマエは・・・」

次は赤ダルマさん。

「下らん。侵略に関係のないことをオレに聞くんじゃない」

この人は素直じゃないけど、100%ドロロ先輩スキーです。

「ホントはお好きなんでしょ?クルル先輩はハッキリ教えてくれたんですけどねぇ・・・」

ギロロ先輩の肩が揺れた。

「・・・・・・クルルだと・・・?奴は何を言った・・・」

「交換条件ってことでどうですぅ?」

「ふん、そんなの」

あれ?

ダメですかねぇ・・・。いけると思ったのに。

「優しいところに決まってるだろ!!」

言ったよ、この人。

「ありがとうです、伍長さん」

「・・・で、クルルはドロロのことをなんと・・・?」

「泣かしたいとか、オレの手に落ちてほしいとかって言ってました」

そう言いながら、僕はすぐに伍長さんのテントから出たですぅ。

・・・荒れると思ったんで。

「ぬわにぃ〜?!クルルの奴!!」











「ドロ沼君の魅力ぅ〜?」

最後はこのガンプラ職人、軍曹さん。

「急にどうしたでありますか?タママ二等」

軍曹さんはいっつもクルル先輩とドロ沼トークしてるし・・・。

「僕、よく考えたらあの人のこと全く知らないんで、

ここは軍曹さんに聞いてみようと思ったんです」

「う〜ん・・・。そうでありますなぁ・・・」

よく分からない細かいパーツを見つめながら軍曹さんは言った。

「泣くと可愛いところは魅力的でありますよ♫

思う存分に泣かした後に、少し我輩が優しくしてあげると異常に懐くし・・・。

飼いならした犬を、自分で傷つけて自分で助けるこの自作自演。

これにハマるドロロがなんとも・・・・・・」

誰もあなたの性癖なんて聞いていないんですけど?

つーかこのカンジ・・・。

さっきもあったんですけど・・・。

小隊の中でも階級の高い2人はどっちも変態ですか、そうですか。

その変態の片割れに好意を抱いている僕は、どうかしてるんですかねぇ?

「ありがとうございます軍曹さん」

一応お礼は言っておくですぅ。

(心はこれっぽちも入ってないがな!)

「しかしドロロは幼い頃の方がいいよ。

涙目こそ多いけど号泣なんてそうそうなかったんだよ?

それによって思いっきり泣かせたいという欲がより一層強く・・・」











―結局。

まともな意見は伍長さんくらいからしか得られなかったですぅ・・・。

しかし・・・・・・『優しさ』ですか。

僕には泣きやすい人っていう印象しかないんですけどね。

カララが 地球に来て暴れまくって・・・・・・

それを救出した上に怒らなかったところはスゴイと思いましたけど。

・・・・・・やっぱり影が薄くて泣き虫。そんでたまにかっこいい。

それ以上の人には見えないんですよねぇ・・・。

皆さんがドロロ先輩に好意を抱く理由が分からない・・・・・・。



確かに、私利私欲の為に動いたり(→緑の人)、

暴れたり怒ったりはしないし(→赤い人)、

悪巧みもしないですけど(→黄色い人)・・・・・・。

・・・・・・・・・アレ?

ケロロ小隊って欠陥を持った人多くないッスか?

・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



そ、そんなことより!

とにかく僕はまだ納得できていません!

軍曹さんの隣ポジションは譲れないんですから!!











「タママ殿〜」

「!!」

な、なんてタイミング・・・。

天井からドロロ先輩が降ってきたですぅ。

「ど、どうしたんですか」

「小雪殿と一緒に育てた無農薬野菜のおすそ分けにきたでござる」

ニコニコと風呂敷を開けるドロロ先輩。

「ドロロ先輩?」

「?」



思い切って聞いてみるですぅ。



「ドロロ先輩は、自分のいいところを何だと思いますか?」

「は・・・?」

呆気にとられた顔をするドロロ先輩。

まあ当たり前といえば当たり前の反応ですね。

「その・・・自分の自慢できることとか・・・。・・・ないですか?」

ドロロ先輩はいつものように凛とした表情で腕を組んで、

「難しいことを申される・・・。自分のことなど、他人以上に考えるものではないし・・・」

と言ったですぅ。

僕も引いてはいられないので、力を込めて口を開きます。

「そこをなんとか宜しくですぅ!」

「・・・・・・・・・では、申そう」

意外にもドロロ先輩はすぐに答えてくれました。







「己の気持ちに正直に行動できるところ、でござる」

「自分の・・・・・・」

それって、軍曹さんや黄色先輩がいつもしていることじゃないですかぁ・・・?



「地球の平和を守るという信念を曲げずに貫いている自分のことを、

拙者は決して恥じてはいないでござるよ」



・・・・・・。

「拙者、この青き星地球を愛しているでござるから」

・・・・・・なんて。

なんて立派な人なんだろう。

ガンプラやアニメにうつつを抜かしている人に見せてあげたいです。

守るべきものが違うとこうも違うんですかねぇ・・・。



「ドロロ先輩、野菜ありがとうですぅ。モモッチに渡してくるですぅ!」

「そうでござるか。では拙者も帰るでござるよ。では!」

天井の板がカシャンと揺れて、ドロロ先輩はいつの間にか消えていました。

ドロロ先輩って不思議ですぅ。

普段は存在を忘れられるくせに、自分から居なくなっちゃえば相手に寂しさを与える。

なんか・・・・・・・・・。

「メンドくさい人ですぅ・・・」



『クーックックック〜。気持ちは分かるぜェ〜』



「うげぇ!?クルル先輩!!」

急に目の前にモニターが現れた。

画面にはクルルズラボの内部が映っているですぅ・・・。

「ずっと見てたんですか?」

『オマエさんがドロロ先輩に関心を持つなんて珍しいと思ってなぁ・・・。

どうだぁ〜?魅力とやらは見つかったかい?』

・・・・・・そうですねぇ・・・。



「やっぱりドロロ先輩よりも僕はお菓子の方が大切なんで!」

それを告げて僕は部屋を出た。

フライングボードに野菜を乗っけて・・・。

帰るとするですぅ。











「・・・ケッ。また、やっかいなのが増えちまったようだなぁ・・・」

「クルル殿・・・。さっき監視していたのは貴殿であろう!」

「クッ・・・・・・。うるせぇのが来たよ」

「何故、私的な領域に無断で立ち入るのでござるか・・・?」

「あーうっせ、うっせ」

「そのような物言いが気に食わぬと言ってるのでござる!」

「へーへー分かった分かった。ところで先輩」

「・・・・・・・・・・・・なんでござる・・・」

「一緒にカレー風呂入らねぇ?」

「御免被るでござる」

「クールル♫さっきタママと話してて思い付いたんだけどぉ〜。

夢成長促進銃使わしてくんない?

ドロロをゼロロに戻しちゃお、って・・・あり?ドロロ居たの?」

「た、隊長殿・・・?今、何と・・・」

「あ、気にしないで〜」

「クルルー!!貴様タママに何を言っているのだ!!

己の欲を容易に外へ曝け出すなどという恥は忍べ!!」

「ギロロ殿。クルル殿がまた何かしでかしたのでござるか?」

「ム。ドロロ、居たのか・・・?ま、まあ何でもない・・・」

「隊長にギロロ先輩よぉ〜」

「どうしたんでありますか?」

「・・・何だ」

「あのオタマも近々ライバルになっちまうかもよ」

「「!!」」

「ドロロ先輩よぉ〜。アンタ、軽々と人に話し掛けてんじゃねえよ」

「何を言っているでござるか?」

「ドロロ。クルルとタママには近付くな」

「し、小隊の仲間なのにでござるか?」

「ド〜ロ〜た〜ん。しばらく山で修業しててくれても構わないんだよぉ?」

「隊長殿はそんなに拙者を追い出したいのでござるか・・・?」

「あ、涙目いいね」

「ドロロ!ケロロにも近寄るな!」

「えぇ〜・・・?どうしたのみんな・・・?」

「ククッ」




















まあ、僕からしたらアレですよね。

可愛いとか守りたい、じゃなくて。

いい先輩後輩の関係でいたい。

って、その程度ですよ、多分。















・・・・・・『多分』、ですけど。






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