創作


□First
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晴れ渡る晴天、小春日和、俺たちは久しぶりに屋上で昼食をとっていた。
一人はおにぎり三個に誰もが一度は見たことのある某メーカーの緑茶、もう一人はカロリー○イトと忙しい人の十秒飯。
全く、不健康な奴らだ。育ち盛りの学生が食べるもんじゃない。
そんなこというお前はなに食ってるんだって?見りゃわかんだろ、カップ麺だよ。

…いや、わかってる、いわなくても分かるよ。うん。俺も十分不健康な食いもん食ってる自覚有りますよ、本当わかってますって。
でもですね、この学校購買しかないんですよ。
冬は暖かいもの食べたいって気持ちわかるでしょう?それだ。
購買にはパンとおにぎりと弁当、飴・ガムしか置いてないし、あったかくない。
あったかくないものなんか俺は食いたくない。
どんなに美味しいおにぎりでも、パンでも、弁当でもあったかくなきゃ美味しくない!
だから俺は毎朝お湯を沸かして水筒に入れて学校にきてカップラーメンを作っていたりする。

こんなとき、いつも思うんだ…食堂があったらなぁ…って。

ちなみにこの学校、昔は食堂があったらしく、食堂自体は存在している。うん、食堂っていう建物自体は存在している。

俺らが入学する直前にこの学園は壊れてしまったのだ。
学園全体を纏め上げ、規律を正し、みんなを引っ張っていたリーダーとも呼べる人物が卒業したらしく(あれ?転校だったか?…まぁどうでもいいか)、そのリーダー的存在が欠けたことにより治安は以前より悪化した。

そんな荒れ果てたサバンナのような無法地帯に働きたいと申し出るシェフもウェイターもいなくなってしまい、我が学園の食堂はやむを得ず閉鎖してしまったのだ。

くそう、なんでそんな名前もわからない誰かさん…あれ…名前聞いたことあったような…指原さんだったっけ…?まぁその人のせいで俺ら育ち盛りの男子高校生が腹を空かせなきゃなんねーんだよ!いや、実質その人は何も悪くないんだけどもね!

はーぁ、どうしたもんかね。まったく。


…ん?
待てよ?俺が指原さん(仮)みたいに学園を纏めちゃえばよくね?

あ、駄目だ。弟たちもこの学校に通うのに、俺が居る時代だけ治安よくしたって何もかわらねぇ。力のない可哀想な男子高校生が俺のように苦しむだけだ(まぁ俺は顔も体格も頭もいいし力もあるけどな)。

――…それじゃあいっそのこと…、

ずずっ、とカップラーメンの汁をすする、やっぱりラーメンは醤油に限るな、なんて考えながら、俺はそれぞれ自分のしたいことをしている二人を見据えて宣言した。


「よし、いっちょ学園改革でもするか。」

「「……はぁ?」」


俺の提案に訝しげな顔をする二人の友人に、俺はニヤリと笑ってやった。おっとお前ら、いくら俺がイケメンだろうと惚れんなよ?俺は男に興味ねぇからな。




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