金色の音
□3小節:紫色の運命
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それからは時々かなでちゃんが教わりにくるようになり、4日目にはアンサンブルも大分マシになってきた。
「梨華ちゃん!」
かなでちゃんが此方にヴァイオリンを持ってかけてくる。
「梨華ちゃんは冥加さんを知っていますか?」
その言葉にふと固まった。
彼女は悪意を持たない純粋な疑問を持っただけだとは思う。しかし彼と面識がある私にとっては不意打ちだった。
「知っているけど本人から聞いたの?」
「えっと、今日楽器屋さんで会って……」
と話してくれるかなでちゃん。
どうやら星奏と言った時に私の名前が出たらしい。
「確かに知り合いといえばそうだけどそんなには知らないかな」
不思議そうな顔を向けてくるかなでちゃんに困った顔をする。
なんとなくどういったらいいのか分からない。
「えっと、私の双子の妹の恋人の友達というか部長というか……かな?」
凄く目を輝かせて恋人という言葉を呟いた。
「けど本人達は忙しいからあんまり会ってないらしいけどね」
なんだかんだで私の方が会っている方が多い気がする。
「気になるの?冥加玲士のこと」
コクンと頷いた彼女に思わず可愛いと思い、笑って答える。