金色の音

□3小節:紫色の運命
1ページ/6ページ


それからは時々かなでちゃんが教わりにくるようになり、4日目にはアンサンブルも大分マシになってきた。


「梨華ちゃん!」


かなでちゃんが此方にヴァイオリンを持ってかけてくる。


「梨華ちゃんは冥加さんを知っていますか?」


その言葉にふと固まった。


彼女は悪意を持たない純粋な疑問を持っただけだとは思う。しかし彼と面識がある私にとっては不意打ちだった。


「知っているけど本人から聞いたの?」


「えっと、今日楽器屋さんで会って……」


と話してくれるかなでちゃん。

どうやら星奏と言った時に私の名前が出たらしい。


「確かに知り合いといえばそうだけどそんなには知らないかな」


不思議そうな顔を向けてくるかなでちゃんに困った顔をする。

なんとなくどういったらいいのか分からない。


「えっと、私の双子の妹の恋人の友達というか部長というか……かな?」


凄く目を輝かせて恋人という言葉を呟いた。


「けど本人達は忙しいからあんまり会ってないらしいけどね」


なんだかんだで私の方が会っている方が多い気がする。


「気になるの?冥加玲士のこと」


コクンと頷いた彼女に思わず可愛いと思い、笑って答える。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ