金色の音

□5小節:薄紅色の再開
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次の日、まだ風邪がひきずっているらしく体が少し熱を持っていて起きるのも少々だるい。


「せめて朝ご飯ぐらい食べないと……」


そう思った私は、部屋を出た瞬間瞠目した。




私の知らない間に寮が変わり果てている。混乱状態のままゆっくりと応接間に行くと其処には


「よう、久しぶりだな」


「梨華ちゃん!」


莉奈のスポンサーの息子、東金千秋とびっくりした表情のかなでちゃん、そして長髪の男の人がいた。


「貴方がやったのですね。東金様」


「居心地の良い空間にしてやったんだ。……それより周防梨華、お前具合悪そうだが自己管理ちゃんとしてるんだろうな?」


不機嫌そうな顔で言われているが私の方もそれは反論出来ず沈黙する。


「梨華ちゃん、まだ風邪治ってないの?」


「えぇ、まぁ」


その言葉を口にするとかなでちゃんは慌て始める。東金千秋が舌打ちと共に私に近づく。


「何しても騒ぐな、いいな」


「えっ!?」


突然の浮遊感に戸惑い、しばらく呆然とする。かなでちゃんの驚いた声にハッとして東金千秋に懇願する。


「1人で部屋に戻れますから、あの、その、おろして下さい」


流石にお姫様だっこの状態は恥ずかしすぎる。顔もありえないくらい熱い。


「千秋。周防さん、戸惑っとるやん」


「逢生、少し黙ってろ。」


東金千秋のニヤリと笑う顔に私は睨む事しかできなかった。
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