羽生結弦
□余裕のない彼
2ページ/3ページ
「…そういうことなんだ」
事の事情を説明し終えると、
納得した表情を浮かべる羽生くん。
「萩花が悪いわけじゃないね」
「あったりまえじゃん!!」
私は少し声を荒げて言った。
「でもやっぱ納得いかないかなぁ」
「…えっ??」
グイッと腕を引かれ、羽生くんの腕にすっぽりおさまった私。
不意打ちで、すごくドキドキしてる
「で、どうだった?俺以外の男に抱かれた感想は?」
すこしこもった声で尋ねてきた羽生くん。
「だ、抱かれたって…なんか嫌な言い方…」
まるで私が浮気したみたいな物言いだ。それは心外だ。
「そういうのはいいから。
…で?俺の時みたいにドキドキした?」
そういうのはいいからって何…。
俺の時みたいにって、どんだけ自信あるの…
そんな羽生くんにムッとして、少し反抗してみることにした
「別に、羽生くんにそんなにドキドキしてないし…」
私がそういうと、羽生くんは冷めた目で見つめてきたから、怖くて目を逸らしてしまった。
「よく言うよね。…今こうやって抱きしめてるだけでもすごいドキドキしてるけど?」
「―――――っ!」
私はバッと羽生くんから離れようと体に力を入れたけど、無意味な抵抗で、全然離れられない。