ボーダーライン
□12.
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「セラフィナー!シェンくんー!」
俺はヘレンさん、ラークさんと別れて南通を捜し歩いていた。
南通は特に騒がしい通りで、いつも賑わっている。
この人ごみの中でセラフィナとシェンくんを見つけるのはなかなか難しい。
「そこの兄チャン!どうよ、この旨そうなオレンジ!
どうだい?一個買ってかないかい?」
俺を呼び止めた店主は美味しそうなオレンジを持っていた。
「どうだい?兄チャン」
「オレンジ一つ貰います」
「毎度ありー!」
俺は10ルピーを払いながら、店主に迷子の二人のことを聞いてみることにした。
「すみません、水色のチュニックで栗色の長い髪の女の子見ませんでしたか?」
「水色のチュニック…なあー…
見たような見なかったような」
「じゃあ…ベージュの「あっ!そういやーこのぐらいの男の子と一緒に見たかもしれねぇ」
店主がオレンジを手渡してくれた。
「この辺でですか?!」
「ああ、なんだか誰かを捜してるみたいだったがー…兄チャンの知り合いなのか?」
「はい。今何処にいるのか分からなくて」
「そりゃあ大変だなぁ。
夕方になってくると店じまいセールするからな、ますます人が多くなる」
セラフィナだけなら、宿屋に帰って来るだろう。
しかし、シェンくんが一緒となれば、セラフィナも逆にヘレンさんとラークさんを捜しているのだろう。
一体あいつは何処をほっつき歩いてるんだ?
一先ず俺は頭を冷やそうと、南通の脇道に入った。
南通から一歩中に入っただけで、大通りの喧騒が嘘のように感じられた。
「何処にいるんだろうね、お父さんとお母さん」
ふと聞き慣れた声。
おや?っと思って振り向けば、細い脇道の途中にあるちょっとした広場の隅に、栗色で水色のチュニックの女の子とベージュで緑のラインの入った服を着た男の子が座っていた。
男の子の方はかなり不安そうな顔で、今にも泣き出しそうだ。
「はぁー…やっと見つけた」
俺はこれでやっと腹の虫も収まることだろうと安堵した。
to be continued