REVIVAL

□22
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目の前に


濃紺のワンピース


漆黒のタキシード


22, 最後の審判




「やっぱり来てくれた」


「んーやっぱりそっくりだな」


茅野が溜息を吐いた。


「何で知ってるのよ、ヴェント」


「いやーそれは、な?
前にあんたが気絶したときに会った」


「いつの間に…」


茅野が肩をすくめて髪をかきあげた。


「で、茅野が此処に来たってことは、全部終わりになるのかな?」


「それは綱吉くん、あなたと。貴方の守護者にかかってるわね」


俺はまっすぐに茅野を見つめる。


彼女の目は真っ直ぐ俺に向けられていた。


「では、始めましょうか」


「いや、その前に。
教えてほしいんだ。全部」


「教える?綱吉くんに教えることなんてないはずだけど」


「いいや、ある。
聞く前に俺たちの知っていることを話すのが先決かな?」


「どちらでもどうぞ。そんなに調べてくれていたなんて」


俺はゆっくりと話し始めた。



これは、随分と昔の話。


プリーモの時代にまで遡る。


プリーモには信頼できる守護者がいた。ただしその人数が今よりも一人多い。


厳密に言えば、”知られている守護者の数が一人少ない”。


”風の守護者”。


初代風の守護者はプリーモとは恋仲のような関係だったらしい。


ただし、プリーモ自身の記述しか残っていないため、初代風の守護者の本心は謎のままだ。


だから恋仲というのも少し語弊があるかもしれない。


プリーモがセコーンドにボスの座を譲るときも彼女に相談したのだという。


プリーモは彼女を連れて日本に移るつもりだったらしいが、彼女はそれを拒んだ。


『私には大事な役目がある』と。


プリーモはそれを了承し、日本へと移った。



「ここまでがプリーモ自身の記述に記してあったことだよ。でも、まだ続きがある。骸」


「仕方がありませんね。
初代風の守護者がイタリアに残った理由。それは、”ボンゴレを守護するため”ですよね?茅野」


「えぇ。よくそこまで調べたわね」


「しかも、初代風の守護者は高名な悪魔払い"エクソシスト"だったようですね。彼が何よりの証拠のようですが」


そう言って、骸はヴェントに目を向けた。


「全部知ってるじゃない」


「いいや、俺たちはまだ知らない。
茅野がどうすればその歯車から抜け出せるのか。
目的が何なのか」


「目的は"ボンゴレを守護するため"。間違いじゃない」


「こんな肥大したマフィアを守護する必要性なんてどこにもない」


茅野が悲しそうな微笑を浮かべた。


俺は一瞬息を呑んだが、じっと彼女を見つめるだけにとどまった。


そんな悲しそうに笑われると俺の心臓がきゅっと掴まれたように感じてしまう。


「そうよ。ボンゴレという組織を守護する必要性なんてどこにもないわ。ボンゴレプリーモは何から何まで完璧に残して行ってくれた。それを壊し始めたのはセコーンドの時代から…

抗争に抗争を重ね、ボンゴレという組織はますます肥大していき、泣く子も黙る最強のマフィアに仕上げた。
確かに彼、セコーンドのおかげで今のボンゴレが存在できているのかもしれない。
でも、根本的な”ボンゴレの精神”はセコーンドによって破壊されてしまった。
私たち風の守護者はその"ボンゴレの精神を守護する宿命を背負っている"のよ」


「宿命…」


「六道骸の言う通り、初代風の守護者はエクソシストで、ヴェントは現に悪魔よ。
悪魔って言っても怨念みたいな感じなんだけどね?
初代風の守護者はヴェントを自身の”血”に封印することで力を得ていたし、エクソシストとしての役目も果たしていた。
みなさんご存知でしょう?
プリーモがどういう理由でボンゴレという組織を作り上げたのか。
ボンゴレの根本を…
もともと自警団だったはずのボンゴレがマフィアと発展して行った。
守るためのボンゴレが、いつしか奪うためのボンゴレになっているとプリーモは嘆いていたと伝わっているわ。

私は、私たちは…


プリーモの精神を受け継ぐボンゴレボスが現れるまで、ボンゴレの精神を守って来た。



それが、私たちの宿命よ」


初めて聞かされたことの真相。


俺は深く息を吸い込んだ。


それが彼女の宿命というのなら、俺は…


彼女をその歯車から引っ張り出すことはできるのだろうか。


俺はプリーモの意思を、精神を受け継ぐにふさわしいのか…


「最後の審判よ、ボンゴレデーチモ」


「最後の…審判」


「そう、これは貴方次第。
でもいいことを教えてあげましょう。

最終選考に残れた歴代ボンゴレは貴方だけよ」






「貴方にはプリーモの精神を受け継ぐ覚悟がありますか?」



「それを、ここに。示しなさい」






to be continued

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