REVIVAL

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そのときはまたも突然


一緒に踊りましょうか


27, 再開の鐘



年に一度のマスカレード。


仮面をつけた貴婦人や紳士で溢れかえるホールに、


ひときわ目立つ人だかり。


その中心にいるのが、ドン・ボンゴレその人だ。


プリーモの時代より受け継がれし揺らめく炎の仮面。


その存在感は大きい。




「今日はお一人ですか?プリンセス」


「一人だけど、少しこれから用事があるの。
悪いけれど一緒にダンスなんてできないわ。
ごめんなさい」


「どなたかとお約束を?」


「いいえ。でももう時効なのよ」


男は至極意味の分からなさそうな顔をして、私に差し出していた手を引っ込めた。


少し悪いことをしてしまったかもしれない。



あれからもう1年半。


いや、もうすぐ2年か…


随分と長いこと時間が経ってしまった。


特にこれといって何かがあったわけでもない。


ただ、時間が欲しかった。


自由に過ごせる時間が。


何にも縛られない。


ときどき思う。


これでもう終わったのかなって。


本当は冗談で、まだ終わってないし始まってもないのかもしれないなんて…


ちょっとおかしいかもしれない。


情報を集めるのは私の能力からすれば至極簡単なこと。


だから特に苦労することもなく楽に稼げる今の仕事に不満はない。


むしろ満足してるし、楽しい。


でも、私のことを仲間だと言ってくれる、そして心配してくれている人がいるのにこのまま連絡も取らずのうのうと生きるのも少し悪い気が此処最近になってようやくしてきた。


「綱吉くん…今から会いに行くよ」




周りをどこぞのファミリーのボスや令嬢に囲まれ、行く手を阻まれている俺にかすかに感じる”何か”。


それが何なのかはっきりはしなくても、きっと大事なことなんだと感じ取れた。


俺は人垣をかき分けて歩いた。


周りは仮面を被った人人人。


これでは分からない。


なにが分からないかって?


そりゃもちろん…



”茅野”


だよ。



そのときふいに視界の隅に映る黒いドレスの女性。


煌びやかなドレスを着る令嬢が多い中、ひときわ目立っている。


彼女がまっすぐにこちらを見ている気がした。


「…嘘だろ……茅野…」



運命の時


12時を知らせる鐘が


ホールに響いた






to be continued

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