ボーダーライン

□8.
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久々にこんな活気のある町に来た気がする。


やっぱり首都だけあって、都会な感じがする一方で。


どこか古びた都市のようにも感じる趣のある町、ハイラル城下町。


すでに日は暮れて辺りは薄暗い。


路地の脇にぶら下がる街頭のオレンジ色の光だけが、レンガ作りの道を照らしていた。


私とリンクはエポナを連れて今日の宿を探す。


昼間に2人してゆっくり昼寝してたせいで、城下に着くのがおくれてしまった。


「リンク、宿屋あったよ。あそこは?」


「聞いて来てくれないか?」


「分かった」


私は宿屋の少し小さなドアを開けた。


チリンチリンと呼び鈴の音がした。


「いらっしゃい。お嬢ちゃん一人かい?」


「いえ、もう一人いるんですけど、お部屋空いてますか?」


「今の所一部屋しか空いてないな。悪いけど二部屋がいいんだったらうちは無理だね」


「大丈夫です。それより、馬がいるんですけど…」


「馬ならちょうどいい。うちには馬小屋があるから、そこに入れるといい」


「ありがとうございます。助かりました」


私はペコリと一度頭を下げて、ドアを開け、リンクを呼んだ。


「リンク、一部屋しか空いてないらしいんだけど、いいよね?
エポナも馬小屋に入れさしてもらえるらしいから」


「セラフィナがいいならそれでいいよ」


リンクの言葉に頬が緩む。


私は宿屋の中に戻って、今晩泊めてもらう旨を伝えると、宿屋の主人が部屋の鍵を渡してきた。


「じゃあ、その部屋で。
馬は外かな?」


「はい」


「じゃあお嬢ちゃんは先に部屋に上がっておくといい」


「すみません、お願いします」


主人が出て行ったのを見て、私は2階に上がった。


鍵で扉を開けると、小綺麗な雰囲気の部屋に足を踏み入れた。


「案外広いなぁ。ベットは2つ、か」


よかったよかった。と思いつつ、私は部屋の隅に荷物を降ろした。


私が窓を開けて換気していた所に、やっとリンクが上がって来た。


「セラフィナ、部屋はどう?」


「いい感じだよ。丁度ベッドも2つあるし」


私の指差す方を見て、リンクが軽く頷いた。


リンクは荷物を部屋の隅に置くと、ベッドに座った。


私も窓を閉めて同じように向かいのベッドに座った。


「今日はお疲れだね」


「明日はとりあえず全部売りに行かなきゃいけないからな。早めに起きないと」


「リンクは起きれるだろうけど、問題は私よね?」


そう言いつつ、私はベッドに仰向けに寝転がった。


もちろん靴は…靴と言っても、動きやすいブーツを脱ぎ捨てて。


「ったく、ちゃんとブーツ揃えろよ」


リンクが立ち上がって私のブーツを揃えてくれた。


「ねぇ、リンク…」


「ん?」


リンクの返事とともにギシっという音が鳴ったので、リンクがベッドに寝転がったのが分かった。


「私…騎士になりたい」


「いきなりかよ。それは前から言ってたことだろ?
どうしたんだよ…今日白騎士様に会ったから?」


「うん、それもある」


「じゃあそれ以外にもあるってことか?理由が」


「かもしれない」


それ以上リンクは何も聞いて来なかった。


「じゃあ、リンクは?」


「俺?」


「騎士に、なりたくないの?」




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