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□11.
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「ありがとうございました」


「いえ、そんな…私の方が感謝しなきゃいけないですから」


少し慌てるノーラさんの胸元にはあの水色のブローチが光っていた。




あれから俺はゼルダ姫とノーラさんに連れられて、城の正面近くまで案内してもらった。


してもらったのはいいのだが、さすがにこの国の王女様が城に物品を届けに来る人やいろんな人が出入りする正面玄関まで来てはいけないだろうということになり、途中でゼルダ姫とは別れた。


王女様に感謝されたのは一生の宝だ。


そして、そこからはノーラさんに案内してもらい、若干お城の説明までしてもらった。


ブローチ探しを手伝ってくれたほんのお礼だと言っていたが、本当にハイラルの南のはずれに位置するような田舎からはるばる出て来た牧童に城の中を案内してもいいものなのか少し心配になったが…


「ところで、リンクさんは誰かお待ちにでもなられているんですか?」


「へ?」


急な質問に俺は間抜けな声を出してしまった。


「え、あ、あの…庭にいらっしゃったので…
暇を持て余しているように見えたもので、ブローチ探しをお願いしてしまったんですけど」


「あ、…はい。実は連れを待ってたんです」


「お連れの方はどちらに?」


「騎士希望で、その交渉に」


「騎士ですか?それはまたすごい腕の持ち主なんですね、その方は」


「まぁ強いですね、確かに」


「じゃあ尚更早く戻る必要がありますね。
既に私がお願いをしてから30分程経ってしまってるんで…」


「そんなにですか?!」


「えぇ」


そう言って左手の腕時計を見たノーラさん。


これはやらかした。


もしかしたら俺がしびれを切らして街に戻ったものと勘違いされているかもしれない。


人の多い城下町じゃ見つけるのは無理そうだ。


こうなってしまってはしょうがない。


俺はそう決め込んで城下町へと続く城門の前まで戻ってきた。


見た限りではセラフィナの姿は見当たらない。


勘違いして先に行ってしまったか、それともまだ終わってないか…


でもさすがにもう終わってるのではないかと思いつつ、話は冒頭に戻る訳だ。




「お連れの方はいらっしゃいましたか?」


「まだなのか、先に行ったのか…ってところです」


「すいません。私が半ば無理矢理ブローチ探しを手伝わせてしまったせいで」


「ノーラさんのせいじゃないですよ」


「本当申し訳ないです」


「いえ。ノーラさんはこれからどうするんですか?」


「私は今日の仕事は終えたので、これから城下に戻ります」


俺ははたしてセラフィナを城門前でこのまま待つべきか否か迷っていた。


まだ交渉中ということはありうるけれど、すでに終わって俺を捜しに城下へ下りていることも十分にありうる。


一度宿に戻ってみるのもありだが…


それでもしすれ違いにでもなったら…


考えただけで気が滅入りそうだった。


「どうなさるんですか?」


「えーっと…」


なんて返そうかと返事に困っていると、ふいにノーラさんが横を向いて軽く会釈した。


なんだ?と思って、俺も目をやると、そこにいたのは白い甲冑に身を包んだ男だった。


白い甲冑と言えば、白騎士。


その男はハイラル王国ハイリア白騎士団の一員であることが見受けられた。




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