ボーダーライン

□12.
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先に城下町に戻ったであろうセラフィナを捜して、俺は一旦宿屋に戻ってみた。


しかし、宿屋にセラフィナはおらず、宿屋の主人に聞いても一度も帰って来てないと言う。


しばらく宿屋でセラフィナの帰りを待っていたが、そろそろ夕方だというのに帰ってこない。


俺は遂にベットから腰を上げ、セラフィナを捜すために再び城下へと繰り出した。





本当に城下は人が多くてセラフィナの姿なんてこれっぽっちも発見できやしない。


困ったもんだと思う俺だが、腹の虫だけは素直なもので…


ぐぅーっと鳴った。


もうすぐ夕食の時間だ。





「セラフィナー!」


すれ違う人や路上に店を構えている人たちからの視線を感じながら、俺はセラフィナの名前を呼ぶ。


それでもセラフィナらしき人物は見当たらない。


途方に暮れて、俺は一先ず中央広場の真ん中に位置する噴水の縁に座り込んだ。


後ろから若干の水しぶきが背中にかかるのが探しまわって火照った体にはちょうどよかった。


さて、どうしたものか。


そう悩み始めたそのとき。


すぐ近くから大声で誰かが叫んだもんだから、俺は驚いた。


「シェンー?!」


「どこにいるんだ?!シェン!」


どうやら迷子になった我が子を捜しているらしかった。


俺とセラフィナもお互い何処にいるのか分かっていない状況であるから、この親子とは同じ状況下である。


「お子さん、迷子になられたんですか?」


「あ、ええ。そうなの。このぐらいの身長で…」


と、母親であろう女の人が自分の腰ぐらいを示した。


「あと、今日はベージュに緑のラインが入った服を着てるはずなんだけど、見かけた?」


「いえ、見かけてないです」


「そう…」


母親は肩を落として落胆した。


「あの、俺も今人を探してるんです」


「貴方も?」


「はい。空色のチュニックで栗色の髪の毛を後ろで一つ括りにしてる17歳の女の子なんです」


「そうね…私は見てないわ。あなた?見かけた?」


「いや、見かけてないな」


父親であろう男の人は肩をすくめてみせた。


「お互い情報が足りないな」


「手分けして捜しましょう?そうしたらお互いにすぐ見つかるかもしれないわ。
まずはお互いの名前とその女の子の名前教えてくれないかしら?」


「俺はリンクといいます。捜してるのはセラフィナといいます」


「リンクくんね。そしてセラフィナさん。
私はヘレンというの、そしてこっちが旦那のラーク」


「よろしく」


ヘレンさんはシャキシャキとした人の良さそうなしっかり者のお母さんのよう。


ラークさんは少しぽっちゃり体系で優しそうなお父さんというかんじだった。




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