ボーダーライン
□2.
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「ふ〜、やっと着いた」
やっとのことで村まで帰って来た私たち。
私がエポナから降りると、リンクも降りた。
「もう真っ暗だね」
「晩ご飯作ってなかったな」
リンクがしまったと言わんばかりに肩を落とす。
その様子を見た私はリンクの背をポンポンと叩き、
「そんなことだろうと思ったよ。今日は多めに作ったから、うちで食べて帰れば?」
「んー…じゃあ」
少しきまり悪そうなリンクを横目に、私は自宅に入りかける。
私の後からリンクも入って来た。
「今日はシチューなんだ?」
リンクがスンスンと部屋に充満していたにおいを嗅ぐ。
「よく分かるね。リンクって、目もいいし、耳もいいし、鼻までいいんだね」
「そうかな?」
少し首を傾げるリンクに私は少し笑って、鍋を覗き込んだ。
「もう冷めちゃってるなー。ちょっと温めるね」
「あぁ、ありがとう」
リンクは幼なじみでご近所ということもあり、一応仲はいい(と思っている)。
でも理由はそれだけではない…と思う。
私もリンクも物心ついたときから両親がいなくて、お互いにその寂しさを分かっているからそばに居やすいんだと思う。
そんな理由で10年以上やってきた訳で。
「そろそろかな」
「できた?」
「ん、リンク。お皿とって来て」
「はいはい」
これはいつものこと。
リンクが私の家で一緒にご飯を食べることも、私がリンクの家でご飯を食べることもよくあって、そのたびに私はリンクにお皿を持って来させてる。
「スプーンもよろしくー」
「もう用意したよ」
いつものことなので、リンクはちゃんと気づいて用意してくれたみたいだ。
私がシチューをテーブルに運んで、リンクがパンを持って来る。
「あ、ナイフ…どこやったっけ?」
「無くすなよ。刃物だぞ?あれ」
「私、パンあちこちで食べるから変な所において来ちゃうんだよね」
そう言って私は山積みされた本とか布とかをよけてナイフを探す。
「あーあれじゃない?」
リンクがどうやら先に見つけてくれたみたいだ。
「あっあった〜!」
やっとこさ晩ご飯にありつけると、私はにっこり笑って椅子に座る。
「俺何処座ればいいの?」
リンクがテーブルと椅子を眺めて言う。
「わっ!ごめん!」
我が家の椅子は山積みの本が占領していて、私が普段座る一席しか基本空いていない。
私は椅子から本をどけて、部屋の隅に置く。
「はい、どうぞ!」
「ほんと、セラフィナは本好きだよな」
「おもしろいじゃん。ここまで集めるのに苦労したんだから」
「ふ〜ん」
興味無さげなリンクを横目に、私は手をあわせてシチューを食べ始めたのだった。
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