REVIVAL

□23
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その覚悟


しかと私に見せつけよ


大いなるボンゴレの継承者


23, 覚悟示すとき




茅野は右手の拳を俺に突き付けた。


その右手の中指に嵌っているのは…


紛れもなく風のリングであって、


これから茅野が俺に言わんとしていることがなんとなく予想できた。


「ボンゴレデーチモ」


凛とした茅野の声に反応したかのように、


中指に嵌った風のリングから一筋の光が伸びて、


俺の額へと到達した。


一瞬頭痛がしたがすぐに治った。


すると、どんどん頭の中に直接イメージが浮かぶ。


あの…あのときの”試練”と同じだ。


ボンゴレの業を受け継ぐ覚悟が試された時と…同じ。




悲鳴を上げ、逃げ惑う人々。


爆発する建物、車。


銃声、路面に広がる血しぶき。


あの試練のときとなんら変わりない過去の映像。



「これに見覚えは?」


茅野の問いに俺は深く頷いた。


今見ても吐き気を覚えるこの惨状。


このようなことをしてきたボンゴレを今…この手で治めている。


俺は無意識のうちに両手を握りしめていた。


「やめろ。これは以前にも見た。
もう……見たくない…」


「おいっ風雅、十代目が見たくないとおっしゃっているんだ…やめろ」


「相変わらずね」


隼人の声がする。


しかし俺の目の前にはやはりあの映像が流れているだけだ。


まるで頭の中を支配されているような気分だ。


「じゃあ…これを見て」


茅野の言葉通り、さっきとは違う映像が頭の中に入って来る。


「こ、れは…」


「この笑顔は紛れもなくボンゴレの強大な力によって救われた人々のものよ」




笑顔、嬉しそうな声、楽しそうな声。


にぎやかな町並み。


綺麗な景色。



「ボンゴレの、力によって…」


「そう。これを見て貴方はどう想うかしら?

先に言っておくと、きっと貴方はこんなたくさんの人の幸せや笑顔を守るために、ボンゴレに力が自分に力が必要だって想うんじゃないかしら」


「……」


茅野の言う通り。


俺は仲間を守る力が欲しくて修行した。


強くなろうとした。


ボンゴレのボスになった。


「でも、本当に力って必要なのかしら?」


茅野の言葉に俺は声が出なかった。


力は必要なのか?


守る術としては必要……?


いや、違う。


守るのに確かに力は必要かもしれない。


でも本当に必要なのは…



「守ろうとする強い思い……そう、だろ?」


くすっと微笑む茅野。



「プリーモは町の人々を守りたい、その一心で自警団を立ち上げた。力はそのあと、その強い気持ちが呼び寄せたものだったんだ。
このリングも超直感も…」


茅野は深く頷いてみせた。


「セコーンド以降からは守りたいという強い気持ちによって導かれた力でなく、既存の力を使っているに過ぎない。
私が貴方の前に現れ、こうやって審判を下し、覚悟を試しているのは貴方がそんなボスではないと確信しているから。
これは最後の確認でしかならない。
貴方の真意を確かめるだけの、ね」


茅野が右手を引っ込めて、今度はその指から風のリングを外し出した。


「どうするつもりなんだ?」


リボーンが風のリングを指して言う。


「これは…もう、いらない。
私の任務は果たされたし、このリングはお役御免よ」


「破棄するのさ」


ヴェントの言葉にみな息をのんだ。




「契約、破棄ね。ヴェント」



終焉の鐘が鳴る


これで全ては終わると


ただし、


風の行く末は未だ掴めぬまま






to be continued

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