REVIVAL

□28
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あのときの…


今なら答えられるかしら?


それとも、もうかまわない?


28, 最初で最後のアンサー



黒いドレスが似合う女なんておまえしか、茅野しか思い付かないよ。


それに、俺が見間違えるはずがない。


俺はだんだんと足早に人垣を分けて君に歩み寄る。


君は少しも動こうともしない。


それを確認した俺は、もう全て終わったんだと思った。


もう、彼女を縛るものは何もないんだと。



「茅野」


そのまま俺は彼女との距離をゼロにした。


自分の腕の中に閉じ込めた。




「…こんな所で女性を抱きしめても大丈夫なのかしら?」


少し冗談めかして言う君に俺は更にぎゅっと抱きしめる力を強くした。


「大丈夫じゃないかも。
でも、茅野との噂が立つなら、俺は構わないけどね」


「私、あのときの答えまだ言ってないわ」


「じゃあ聞かせてくれる?」


「今ここで?」


「場所を変えようか?」


「ううん、別に何処でも同じよ」


彼女がもぞもぞと動いて、俺の腕からするりと抜け出した。


それすら寂しく思ってしまう俺はかなり重傷。


彼女は俺をしっかりと見つめた上で、唇を開いた。





「答えは、イエス。


  あのときも、今もね」





茅野らしい返答に頬が緩む。


茅野が今俺の目の前にいるのだと実感出来た。


「綱吉くん」


真っ直ぐな茅野の目を見つめる。


「貴方のおかげで、私は宿命から逃れることができた。
でも、それと同時に私の中で、私たちの中でとても大事にされてきていたものがぽっかりとなくなってしまった。
だから、私は貴方にその部分を埋めてもらいたいの」


茅野の唇から溢れる言葉は俺にとって思ってもみないほど嬉しい言葉だった。


「これじゃあまるで逆プロポーズみたいじゃないか」


「あら、そう?
私はただ貴方の傍にいさせてもらってもいいのか聞こうと思ったまでよ」


「まるでたちの悪い質問だよ」


俺は再び茅野を抱きしめて、




そっと耳打ちした。






戻ってきてくれてありがとう。
  茅野、好きだ








君がここに戻ってきてくれたのは


必然か偶然か


君が自由になれたのは


俺のおかげなんかじゃないよ


彼のおかげだ






to be continued

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