REVIVAL

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これからの未来へ


私と貴方とそして、


この小さな命と


30, REVIVAL



紅茶を淹れるために入った給湯室で、偶然リボーンと出会った。


「茅野、今日は同盟ファミリー間での社交パーティーがあるんだが…知ってるか?」


そして突然聞いた社交パーティーの話。


当の本人はというと、昨日は徹夜で仕事してたらしく、未だ寝室で寝ている。


「綱吉くんはまだ寝てるわ。
あと、葉月も一緒に寝てるし」


「ったく、平和ボケしてやがんなあいつは」


口調は厳しいけれど、表情はどこか柔らかいリボーン。


私は彼の表情を見て少し笑ってしまった。


「それで、社交パーティーのこと綱吉くんは知らないの?」


「いや、逆だぞ。
茅野には今回のパーティーに出席してもらわなきゃならねぇ」


「え?!私も?
でも葉月がいるし…」


「もちろん、葉月のことは面倒見させるぞ。
今回のパーティーは女性同伴だからな。おまえが行かなきゃあいつは連れて行くやつがいねぇ」


不適に微笑むリボーンに私は「なるほどね」と答えた。


「じゃあもうすぐ用意しなきゃならないのね。
夜には帰って来れる?」


「あぁ、夜会じゃねぇからな」


私は結局紅茶も淹れずに給湯室を出た。




「綱吉くん?
あ、まだ寝てる」


寝室のベットで娘の葉月と一緒になって寝ている姿はさながら休日のパパ。


昨日も徹夜だったからきっととても疲れているんだろう。


ベットの端に腰掛けて、綱吉くんの頬を撫でたり、つついたり。


「ん…」


少しだけ眉を寄せて声を出す綱吉くんがどうしようもなく可愛くなってくる。


「可愛い…かも」


「可愛くない」


急にはっきりした声で綱吉くんが答えるものだから、私は驚いて思わず身を引いてしまった。


「起きてたの?」


「今、起きたよ」


「今日社交パーティーがあるんだってね。
リボーンからさっき聞いたよ」


「リボーン…?」


「うん、リボーンから」


「リボーンは呼び捨てなのに、俺のことは"くん"付けなの?」


ちょっとぶすっとした表情で尋ねて来る綱吉くんに私は思わず笑ってしまった。


「だって、リボーンが"くん"付けなんて気持ち悪いって言うから」


「だからってなんで俺じゃなくて…」


ぶつぶつ言う綱吉くん。


こんな小さなことで嫉妬してくれる綱吉くんがとても愛おしい。


こんなマフィアのボスらしからぬ彼だからこそ、プリーモの意思を受け継ぎ、ボンゴレの精神を再興することができたんだろうなと今改めて思う。


もしかするとプリーモもこんな感じだったのかな。


「綱吉、葉月が起きちゃうよ。
ほら早く行こう。準備しなきゃ」


「……っ」


綱吉が急に固まってしまった。


と、思ったら急にがばっと抱きついてきた。


愛しい人がぎゅっと抱きしめてくれて好い気がしないわけない。


「なあに?」


「だめだ…今急激に茅野が愛おしくなった」


恥ずかしげもなく綱吉がいきなり言うもんだから、私は少し照れてしまった。


それでも仕返しとばかりに綱吉の頬にキスを送った。


「……ったく、そんな可愛いことするなよ」


「ほーら、早く行くよ」


「茅野」


名前を呼ばれて綱吉の方を振り向けば、いきなり左手を取られた。


そして跪く綱吉が私の左手の薬指の結婚指輪に静かにキスをした。


「それでは参りましょうか、愛しい俺の奥さん?」


ぽかんと一瞬呆けてしまった私だけど、すぐに気を取り戻して、


「そうね、愛しい私の旦那さん?」





ねぇ、綱吉。私と葉月のこと無理して守ってくれなくったっていいからね。貴方は大切なファミリーを守って下さい。私は貴方の帰る場所を守るから。もちろん葉月もね。だから気負わないでね。どんなに辛いことがあったとしても私たち家族はいつでも味方なんだから。貴方がどれだけ重い物を背負っているのか私知ってるよ。理解してる。私も昔は宿命を背負って生きてたんだもの。もちろんあなたのそれに比べたら全然違う物だけど。それでも、だから貴方の背負う物についてはよく理解してるつもり。だから弱音吐いていいよ、いっぱい頼ってくれていいよ。そうして一緒にボンゴレの精神、守っていきたいな。



ボンゴレの精神は"再興"されたんだから、怖いものなんてないよ。




「愛してるよ、綱吉」


「なんだよ急に。
俺も愛してるよ、茅野」









『幸せになれよ、茅野』


私は開いた窓から囁く風を感じた。






fin.

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