ボーダーライン
□15.
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人は何時だって失くしてからその大切さに気がつく。
よく言われることだが、それは正しい。
2年前、俺はそうやって大切なものを失くしたんだ。
いずれこうなることも、あいつが騎士を目指すって言ったときから決まっていたことだったと思う。
俺は別に騎士にに憧れがないわけじゃないけど、わざわざ生まれ育ったこの村を離れようとは思わなかったし、村の皆といつまでも一緒に暮らして行けたらいいなとしか思っていなかった。
剣を振るうものとして、騎士への思いがなかった訳じゃない。
今から思えば…俺は、あいつと一緒にいたかっただけかもしれない。
一緒に夕飯食べたり、森に散歩しに行ったり、町へ買い物に出かけたり…
今はあいつはいない。
元気にしてるのかなぁ。
手紙で別れを告げて来て、たまには村にも返って来いと言ってたのに、一つも姿を見せないじゃないか。
でも…やっぱり俺は馬鹿だよ。
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