断片

□セイカイconsumption
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友達なら笑っていられた?

出逢わなければ幸せだった?

いっそ生まれて来なければ平和だった?

全て私が悪いの。

セイカイconsumption






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降りしきる雨の中。
自分を誤魔化すように明るい色ばかりの服装で歩く。
飛びきり明るくて白い傘は、『彼』の為に買ったもの。

そう、そうだったの。
私はいつも彼の為に生きていた。



だからもう、今は生きていないのと同じ。







――――――――――――――






「ただいま」


誰もいない。
分かっているのだ、そんなことは。

それでも体に染み付いた癖は取れない。
ついつい『彼』の返事を待っている自分がいた。


「……はぁ…」
「お前がジェシカか?」


溜め息を吐いた私の後ろに、ボサボサな髪の少年が立っていた。
甘い色合いの茶髪はすっかり両眼を覆い隠していて表情が見えない。


「あなた……誰?」
「俺?」


すると少年はくひひっと笑って言った。


「死神」


死神?
その言葉に、何も言えなくなる。
いきなり見たことのない少年が現れただけでも驚くべき事なのに、死神だなんて言われて信じられる筈がない。


「ねぇ、あなた……本当に死神なの?」
「そうだ」
「……なら私を殺してみせてよ」
「そう言うと思っていた」
「えっ」


淡々と話す姿に、少し動揺する。
どういう事?
この子は本当に死神で、私の心を読めるとでも??


「俺は、お前が死にたがっているから迎えに来た」
「お迎えね……」


一通り話を聞くと、不思議と落ち着いた。

ふと自分の左手にぶら下がった袋の中身を見る。
そこには卵とケチャップ。
彼が大好きだった……


「……お腹空いてない?」
「は?」
「折角来たんだもの、何かおもてなしさせて?」
「お前……」
「ね?最後に………」
「………分かった、何か作ってくれ」


私は死神と一緒に中へ上がった。
















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