断片
□ボウバクexistence
1ページ/3ページ
ねぇ母さん
分からないよ
あなたは何処へ行ってしまったの?
『死ぬ』って何?
ボウバクexistence
――――――――――――――
「ただいま帰りましたーっ」
「お帰りシェリー」
町外れの小さな靴屋。
親の無い僕を拾ってくれた、ノヴァおじさんのお店。
僕は七つの時にここに来て以来、娘としてお店の手伝いをしている。
「おやつが出来ましたよ」
「今日は何?」
「キイチゴがたくさん取れたから、パイにしてみたの」
「わーい!アリエスさんのパイ大好き!!」
「それは美味そうだな」
いち早く席についた僕の後から、おじさんとアリエスさんがやってくる。
全員が座るのが待ちきれずに、僕はパイを頬張っていた。
「慌てちゃダメよ」
「んふ、だって美味しいんだもん」
「ははは、シェリーは元気だな」
いつもの午後、変わらない日常。
僕にとってかけがえの無い幸せそのもの。
毎日がこんな風に過ぎていくのだと、ずっと思っていた。
.