夢の滴

□私だけを見てほしいなんて、
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幼い頃から、白龍皇子は私にとっての本当の王子様だった。


今でも彼のことを王子様(そう)だと思ってる。


城の窓(遠く)から鍛練している姿を見てるだけで幸せだった。





私だけを見てほしいなんて、





人は恋をするとバカになるみたいで、独占欲が出てくるらしい。


目が合いたい、近くにいって話がしたい、側に居たい、触れたい。


そう思い続けながらも、臆病な私はいつも窓(遠く)から見てた。


白龍皇子がシンドリア留学をすると知った時、紅玉様に無理を言って御付人の一人として同行させていただいた。
(快く受け入れてくださった紅玉様が神に見えた。)


シンドリアに着いた後、私はお友達が三人出来た。


それと同時に白龍皇子と少しだけ距離が縮まった気がした。


迷宮(ダンジョン)攻略の時には、回復役として付いて行かせてもらった。


辛かったけど、さらに距離が縮まった気がした。


最初に比べて白龍皇子と話す機会が随分増えた。


そのことが私は嬉しく思ったし、幸せだった。


でも、それは気のせいだったんだ。


近付いてなんかなかった。


むしろ離れていたことに、今更気付いた。


彼は私を見てはいなかった。


彼がずっと見ていたのは、私ではなくあの子だけだった。


何故だろう、私の方が先に見付けたのに。


何故だろう、私の方がずっと長く一緒にいるのに。


何故だろう、私の方が彼を思っているのに。


ほら、またあの子に話しかけてる。


今まで話してた私のことなんて、まるで見えてないみたいに。


……私は、バカだ。





叶いっこないのに。
(それでもきっと私は、)
(貴方を思い続けるのだろう)






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