**銀×土

妄想ドロップス*バナナ味*
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「はぁ……」

もう何度漏れたかしれないため息を、また漏らす。
なんつーかもう、腹の底から出る。

久しぶりにやっと、やっと会えたってのに。
また、このパターンだよ。

俺はやりきれない気持ちでソファに腰掛けると、大腿に両肘をついて、向いのそれに横たわる恋人を見下ろした。

「……はぁ……」

もう次からは手っ取り早くラブホで待ち合わせしよっかな。
でもきっと来てくんないんだろな。じゃダメじゃんな。やっぱ打率悲しいくらい低くても、このバッターボックスで待たねぇとダメなんだよな。打てないってわかってても、立ち続けなきゃなんねぇんだよな。

でも辛い。せめて打率4、5割いきたい。
それって野球界ではとんでもない記録で、山田太郎くらいしかその偉業を成し遂げていないのかもしれないけど、でも身体の真ん中のバット的にはかなり低打率だと思うわけ。
今俺、打率何割よ。1割……良くて2割行くか行かないかだろ。ファーム落ちしないのが不思議だわ。飼い殺しされてるわ。

「……ったく、どうなんだこの子」

土方だってセックス嫌いじゃないくせに。
あんな感じやすいくせに。
直ぐメロメロになっちゃうくせに。

この間、つってももう2カ月位前の話だけど、このままいくと十年を一昔って言ってしまう世代の人と同じ感覚になっちまいそうだけど、とにかくこの間、あの例の思ったことが顔に出ちゃう飴を嘗めたおかげで立証済みなんだかんな。

それなのになんでこんな、前後不覚になるどころか意識消失して昏倒するまで深酒すんの。
これじゃ手ぇ出せないじゃん。

くすー……と安らかな寝息をたてながら、幸せそーに眠る寝顔に、異様に腹が立つ。
夢でも見てんのか、寝ながら時々くふくふっとか笑ったりすっからまた、イラァッ…!てなる。

最初はフツーに飲んでたくせに、途中からなんかいきなりヤケクソみたいに呷り始めたんだよコイツ。予告なく急にダッシュかけたもんだから、咄嗟のことで銀さん、止められなかった。不覚。
いったい、何の合図でスタート切っちまったの。ゴールはこれでいいのか。ホント意味分かんねぇ。もう、池上彰に徹底解説してもらいたい。

「……あ〜あ〜…………」

さっきっから激しく自己主張してくる息子が気になって、ズボンを引っ張って中をチラと見下ろして……また、ため息。
ああもう腫れてるよ。明らかに腫れちゃってるよコレ。

だってもう、元々けっこう溜まってたからね。
さすがに会えなかった2カ月間ずっとしないのは無理だし、健康的にも良くないから定期的に抜いてっけど、ここしばらくは禁欲的な生活送ってたんだからな。
それもこれも、今日土方に会えると思って逆算した上での禁欲期間じゃん。いうなればカウントダウンじゃん。
こんな久しぶりにやっと会えて、まさかそれだけだとは思わなかったけど。
でもだってこの間土方、あんな俺のこと好き好き言ってたしー……って、いやアレ本人言ったつもりなかったわけだけど。すると土方的にはまさかのノーカウントなのかもしんねぇけど。
そこらへんの計算してなかったのは浅はかというか誤算でしたけど。ああまったく色んな意味で上手くない。

ああもう限界。
これ以上じっとしてらんない。股間パーンなる。

いつも抜く時には土方を想像しながらシテっけど、この間のアレなんて、もう何回脳内で再生したかわかんないけど、今その媒体が目の前だからな。
まるでそこにいるかのような臨場感を味わえるっつー噂のブルーレイ超えて、ライブ感覚をお楽しみ頂ける3D超えて、生!!まさにラ〜イヴ!!だからね。
うわ。豪華じゃねぇの今日のオカズ。
超豪華すぎて、どうしたのお母さん、何かいいことあったの?あ、さてはボーナス!?やったあパパ!明日はホームランだ!!とか大昔のCMみたいなことやってるよ?もし俺に家族がいたら。

俺はズキズキと痛い股間のせいで前屈みになりながら、寝てる土方の脇に座り込み、ごそごそと分身を取り出した。

「うわ、すげ……」

ソレは触る前から案の定、熱く滾って天を衝いてた。

「……ん……っ」

どくどくと脈打つそれをゆるく握った途端、ものすごい快感が走り抜けて、思わず再び前傾姿勢。

「……あーもう。お前起きてたら、コレで可愛がってあげたのにー」

そんなある意味渾身の自虐ネタを呟きながら、ゆるりと自身を扱く。
それだけで息が詰まって、思わず舌でぺろりと唇を舐めると。

「…………っん」

まず前回のお気に入り場面の、
『ぎんとき……好きすぎて…………死にそう』
が浮かんできて、いきなりたまらなくなる。
やっぱこれは、何回再放映見てもクる。いっそ泣ける。火垂るの墓クラスの名作。

でもま、せっかく本人がいるので……と思い巡らすと、いつぞやの土方の痴態がリバイバルで甦った。


(う、わ……狭)
(ぁあ、ん……ッ!!やぁだあ……っだめ!……や、め……だぁ、め……っ!!)
(なにがだめ……?)
(おっきぃの、だ、めぇ……!!)
(ッ……おっきいの、ダメなのか?)
(だめぇ……ッ!!なか……っこす、れる……)
(擦れるのがダメ?苦しい?)
(くる、し……!!あ、……!でも、でもっ!じっとしててもやー!!どくどくって、やぁぁー)
(……!!)
(もぉやだ……!!もぉやぁだあー……!)


「……ッ!!」

土方の泣き顔が浮かんだところで、あっという間に達してしまった。

粘ついた体液が手のひらに勢いよく吐き出されて、ドロリ…と指の股を伝う。




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