**銀×土

いたずら 銀時ver.
1ページ/5ページ


(ううむこれは……なかなか……)

思いがけず風流臭い呻き声が出たなと思ったが、別に茶碗を見たり掛け軸を見たり苔のついた石ころを見たりしてるわけではない。

眠ってる恋人を見てます。

でもある意味風流です。つか実際風流です。
着てる着流しは波模様をあしらったものだし?着てる人は色白さんだし?髪は俺が羨む艶やか黒髪ストレートだし?なにより美人さんだし!

もう少し早く生まれてたら、左右の大臣おろか天皇くらい軽く手玉に取って紫式部女史からオファーがきて源氏物語に登場しちゃってたんじゃないのっていうその美人さんは、今、ウチのソファの上で、窓から射し込む月光を浴びながらすやすや眠ってる。
俺はその寝姿を愛でてる。風流だろこれ。

酒、あんま強くないのにあんな飲むから。
仕事で何があったか知らんが、つか、この1ヶ月間お前に何があったのかほとんど全て知らんが、飲みすぎだろっつの。
この子けっこう酒に飲まれるタイプだよなホント。

「では……」

ひとしきり愛でた後、俺はありがたく……と目の前の据え膳に手を伸ばした。
礼儀作法にも乗っ取ってるだろ。

[据え膳]すぐ食べられるように食膳を整えて人の前に出すこと。また、その膳。/女性からしかけてきた情事。明鏡モバイル国語辞典より。

ほら、据え膳じゃぁ〜ん。
すぐ食べられるように整ってるし。俺の目の前にあるし。女性ではないけれど、しかけられてるようにしか、俺には見えねぇし。
うん。据え膳据え膳。これを食わねば男がすたるっていうアレだ。

いや、全部は頂かないから!味見するだけだから!ちょこっとでいいから!
だから触らせてお願い!
だって銀さんもう、手がわきわきして止まんねぇ!




次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ