**銀×土

また来た☆発情ねこ期
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めっきり寒くなって参りましたが、いかがお過ごしでしょうか。
こちらは変わらず、めっきり冷え込んできたせいで煙突掃除などの仕事はちらほらと舞い込んで参りましたが、このご時世とこの世界観でそんな世界名作劇場的なものをつけている家などそうそうなく、めっきり懐が寒くなってきた折です。
あまりにも寒いので、パフェ的なものを受け付けなくなってもっきり久しいです。

(…………や、温かい室内でだったら食べたいけどな、パフェ。)

でも寒いからな。家ん中めっきり寒くて、冬に食べるアイスって美味しいよね☆みたいな贅沢な食べ方できないからね。
そんなこと言ってみたいけど、そんなことしたらフツーに身体冷やすからね。どんだけ家冷えてるかって、銀さんの銀さんがぽっきりしちゃうくらい冷え込んでるからな。

(でもまぁ、銀さんの銀さんがめっきりぽっきりしちゃってるのはむしろ、姿も面も見せないあいつのせいだけどな)

これこそ相変わらずの理由に、うんざりする気も失せて空を見上げれば、晴れ渡っているわりにやけに白々とした薄水色の空が広がっている。

(ったく。デリヘルでも呼んだろか)

金がねぇから出来もしねぇことと分かっていてそう呟いてしまうのはしかし、会えていない日々が流石に長過ぎているせいだろうか。
それとも、単にこの寒さが身にこたえているせいか。

(あーー寒。マジで寒い。小豆買ってって家で善哉作ろっかなーー)

枯れかけた芝生が広がる土手沿いをぶらぶら歩きながら、家路につく道程をちょっと変更して、乾物屋に寄って行こうかと考える。
あれを作ると、匂いが甘ったるい、家中豆くさくなる、と苦情が来るのだが。
しかしその、甘味屋に……むしろ日本古来の伝統の食文化に喧嘩でも売るのかというような失礼極まりないことを抜かす最近のガキ共はちょうど、1人はアイドルのコンサートツアーの追っかけ中、もう1人は友達が通ってる寺子屋が秋休みとやらで行く旅行に同行中、ということで共に留守だ。

ゆえに、好きなだけ偏食し放題ではあると同時に、家の中の人口密度がガクリと減少して、現在、万事屋は物理的にも非常に寒々しい状況だった。

定春はいるが。あのもふもふと一緒に寝たらすこぶる暖かそうであるが。
しかしあいつは男と一緒に寝てはくれない。
まったく意味がない。なんのために毛の生えた生き物を飼っているんだと言いたい。こんな時、暖をとるための毛皮ではないのか。違うのか。

寒さのせいか心がささくれだって横暴な繰り言を吐いたら、吐く息がうっすら白くて思わず眉間にシワが寄った。

暖をとりたい。
金もねぇし、今同居人もいねぇから勿体無ぇし、ヒーターとか床暖房とか贅沢言わない。もう、なんなら猫とかでいい。猫とかで。

「…………」

猫とか。

俺はふと立ち止まり、そしてきびすを返した。
寄り道の行き先を、もうひとつ、増やすことにしよう。




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